今、問われる患者目線のインプラントとは?
1/8

18特集:今,問われる患者目線のインプラントとは? Dr. Kerriskはインプラント周囲炎の発症のリスクファクターを探り,「インプラント周囲炎をどう治療するか,発症の最小化を図ることができるか?」という主題でエビデンスレベルの高い論文を挙げ,解説した.1)インプラントにおける病的徴候と骨喪失の臨床的サインの間に関係はあるか? Franssonら1)はインプラント周囲の進行性骨喪失を保有する患者でのインプラントの臨床的特徴を知るために,進行性骨吸収病歴保有者82例のプラーク指数,プロービング時の出血,プロービング時の排膿,プロービングデプス,インプラント表面の歯石沈着,辺縁粘膜の退縮,インプラント‐アバットメント接合部の軟組織レベルを評価した.その結果,インプラントにおける病的徴候と骨喪失の臨床的サインの間に関連があることが示された.2)喫煙と治療への反応はインプラント周囲疾患の重要なリスクファクターか? Rinkeら2)は喫煙とインプラント周囲炎および周囲粘膜炎の罹患率の評価のため,同じタイプのインプラントで治療された89例のデータを収集した.これらの患者でのインプラント周囲粘膜炎罹患率は44.9%であった.そのうち,歯周病の既往歴がない非喫煙者と既往歴がある喫煙者の罹患率は30.4%,および80%であった.歯周病既往歴がない非喫煙者ではインプラント周囲疾患と診断されたものはなく,治療後の反応は良好であった.統計学的解析では,喫煙者とインプラント周囲炎および治療への反応に有意な関連があった(表1).3)歯周病への高い感受性はリスクファクターか? Pjeturssonら3)は,歯周病に感受性が高い患者のインプラントの長期残存を評価し,残存歯周ポケットのインプラント周囲炎とインプラント喪失への影響を検討した.70名の患者に165本のITIインプラントを植立後,包括的歯周治療を行い,3~23年(平均7.9年)経過観察した.その間,プロービング時インプラント周囲炎をどのように最小化し管理するかHow to Minimise and Manage Peri-ImplantitisPeter Kerrisk(President, Australasian Osseointegration Society)オーストラリア オッセオインテグレーション学会より報告者:松浦正朗*1,横山敦郎*2福岡歯科大学口腔医療センター*1北海道大学大学院歯学研究科口腔医学専攻口腔機能学講座口腔機能補綴学教室*2はじめにインプラント周囲炎を最小化し管理するための問題提起

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です