今、問われる患者目線のインプラントとは?
2/8

19オーストラリア オッセオインテグレーション学会よりの出血,臨床的付着レベル,インプラント周囲溝のプロービングデプス(PPD)を,ベースライン,治療終了時,経過観察時に評価した.患者はインプラント周囲炎罹患者(PIP)と非罹患者(non-PIP)に区分された.喪失したインプラントは6本(累積残存率95.8%)で,インプラント周囲の感染で喪失したインプラントはすべてPIP群であった.インプラントの22.2%,患者の38.6%がインプラント周囲炎に罹患していた.歯周治療終了時の残存ポケット(PPD>5mm)はインプラント周囲炎とインプラント喪失の有意なリスクであった.歯周支持療法(SPT)中に感染が再発した患者は,歯周組織が安定している患者と比較してインプラント周囲炎とインプラント喪失のリスクが高かった. Karoussisら4)は歯周病患者に埋入したインプラントの短期的,長期的予後について前向き研究論文をレビューした.その結果,慢性歯周炎既往患者と歯周が健康な患者の間で,短期および長期インプラント残存率に有意差はなかった.進行性歯周炎既往患者と歯周組織が健康な患者の間には,長期のポケットデプス,インプラント周囲骨喪失およびインプラント周囲炎において有意差が示された.4)インプラントの生物学的合併症には遺伝的なリスクファクターがあるか? Derekaら5)は遺伝的素因(遺伝的多型性)と歯科インプラントの生物学的合併症の関連についての系統的レビューを行った.この限られたレビューの中では,IL-1 genotypeとインプラント周囲炎の間に潜在的関連が強く示唆されたが,特異的な遺伝的多型性と歯科インプラントの生物学的合併症との間に明らかな関係はないと思われた.5)インプラント表面の種類によってインプラント周囲炎のリスクは異なるか? Albouyら6)はインプラントの表面性状とインプラント周囲炎の自発的進行についての動物実験を行った(図1).ラブラドール犬の両側下顎小臼歯を項目オッズ比P値(Wald test)喫煙事情31.58(5.13-194.25)P<0.001通常の予防/歯周支持療法(SPT)0.09(0.01-0.57)P=0.011表1 喫煙とインプラント周囲炎および周囲粘膜炎の罹患率の評価2)SPT:supportive periodontal therapy.フロスの結紮でインプラント周囲炎を誘導.→50%までの骨喪失が進んだら結紮を除去.SLATioBlast3i turnedTiUniteさらに24時間.SLATioBlast3i turnedTiUniteSLATioBlast3i turnedTiUnite図1 インプラントの表面性状とインプラント周囲炎の自発的進行についての動物実験6).

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です