そのままつかえる照会状の書き方
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58CHAPTER❹代謝性疾患 糖尿病はインスリンの欠乏、作用不足によって血液中のグルコースを末梢組織の細胞内に取り込むことができず、高血糖状態が持続する疾患で、糖、蛋白、脂肪、電解質などの代謝が侵される代謝性疾患である。絶対的インスリン欠乏のために起こる1型とインスリンの分泌量低下や作用不足による2型に大別される(表1)。糖尿病の診断は、血糖値の高値を確認し、 HbA1c、糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)、糖尿病性網膜症の有無、過去の血糖値における「糖尿病型」の有無、臨床所見、家族歴などから総合的に診断される(表2、3)。HbA1cは、近年、NGSP値が糖尿病の判定基準に用いられるようになった(表4)。疾患について疾患についてDMDMdiabetes mellitusdiabetes mellitus糖尿病糖尿病照会状の書き方例照会状の書き方例 根尖性歯周炎にて抜歯の予定です。現在、貴院にて糖尿病で加療中ですが、血糖のコントロールはいかがでしょうか1。HbA1c値2、尿検査の結果3、治療内容(投薬内容)4および合併症5を含め、最近の病状につきご教示いただければ幸いです。 ○月○日、2%キシロカイン(1/8万エピネフリン添加)局所麻酔下に、1本の抜歯予定ですが、歯肉の切開と骨削除を要する難抜歯のケースです6。術後の疼痛、腫脹が数日間続き、摂食障害となることが予測されます。感染予防のために抜歯前日より抗菌薬(サワシリン750mg/日)の投与を行います7。空腹時の処置は避けますが、抜歯にあたりその他注意事項などございましたら、ご教授ください。 ご多忙のところ恐れ入りますが、よろしくお願い致します。照会のポイント照会のポイント1. 血糖値がコントロールされているかどうか?2.HbA1c値3. 尿糖、尿ケトン体陽性か?4. 治療内容 どの治療法がなされているか? 食事療法、運動療法、経口血糖降下剤、インスリン療法か(表5)? 糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法であるが、それで血糖がコントロールされない場合は経口血糖降下薬かインスリンの薬物療法が行われる。 糖尿病治療薬の種類、投与量、投与回数5. 合併症などの基礎疾患の有無(表6) 脳梗塞、心筋梗塞、腎疾患など6. 歯科治療内容 手術の侵襲度を担当医に知らせる7. 抗菌薬の予防投与 血糖のコントロールが悪い症例では、抗菌薬の予防投与を行うキーワードキーワード❶HbA1c/❷NGSP値/❸インスリン療法/❹低血糖性ショック※HbA1c値(グリコヘモグロビン)グルコースは赤血球に含まれるヘモグロビンと結合してグリコヘモグロビンとなる。赤血球の寿命が約120日なので、HbA1cを測定することによって過去1~2か月間の平均血糖値を知ることができる。基準値は4.3~5.8%で、糖尿病患者では6.5%(NGSP値)未満を目標とする。

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