そのままつかえる照会状の書き方
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104CHAPTER❽感染症pulmonary tuberculosispulmonary tuberculosis肺結核肺結核 肺結核は、結核菌Mycobacterium tuberculosisの感染による慢性感染症である。近年、若年層を主とした集団感染や免疫機能の低下を伴う超高齢者の感染が問題とされている。 感染経路は飛沫感染で、排菌している肺結核患者のせき、くしゃみなどから生じる気管支分泌物や唾液などの飛沫小粒子に含まれる結核菌を吸引することで感染が生じる(表1)。確定診断には、喀痰からの結核菌の検出が必要とされる。しかしながら、喀痰からの培養が陰性であっても、胸部エックス線で肺結核(図1)が疑われ、肺結核薬が有効で臨床的に結核と診断されることがある。 治療には、早期に抗結核菌の薬剤併用を開始することで、ほぼ3か月以内に陰性化するとされている。 また結核性病変は多くの臓器にみられ、主として結核性髄膜炎、骨関節結核、尿路結核、リンパ節結核、皮膚結核などがあげられるが、稀に口腔(図2)にも病変がみられることがある。疾患について疾患について照会状の書き方例照会状の書き方例 重度歯周炎にて抜歯を予定します。現在、肺結核にて貴院にて加療中とのことですが、現在の病状、排菌の状況1、内服薬2、観血処置時の留意点などについてご教示いただければ幸いです。 なお、抜歯は2%キシロカイン(1/8万エピネフリン添加)約1.8mL使用の局所麻酔で外科侵襲は中等度、手術時間は20分間程度で、出血量は軽微と予測されます。術後には感染予防としてのペニシリン系薬剤を3日間、疼痛時にはNSAIDsの投与を考えております。また、医療従事者への院内感染3については十分に留意します。 ご多忙中とは存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。照会のポイント照会のポイント1. 排菌している場合は抜歯を避ける2. 抗結核薬による肝障害を考慮し抗菌薬の投与には注意する3. 飛沫感染のため患者のせき、くしゃみなどに注意キーワードキーワード❶肺結核患者の病態/❷排菌/❸感染予防・感染源となる患者が適切な治療を受けていない場合には、患者が排出する感染性粒子による感染の危険性は増加する。・喀痰塗沫検査において抗酸菌がみられる場合は、感染の危険性は大きい・咽頭結核の場合は感染性を増加させる・せきはエアゾールを発生するため危険性は増加する・呼吸器症状が長期間みられる場合は、結核伝播の危険性が増加する『呼吸器研修医ノート』より表1 結核菌を伝播する危険因子

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