乳歯列期における外傷歯の診断と治療
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053Ⅲ‐6 乳歯における震盪Ⅲ 治療法の実際367104589<亜脱臼と震盪が同一患者で認められた症例>☆初診時(5歳6か月の女児):転倒によりアスファルトで右側上口唇部を打撲,擦過傷および内出血による腫脹を認める(図③).☆Aは歯肉溝からの出血,打診痛,動揺を認め亜脱臼と診断.Aはやや打診痛はあるが歯肉溝からの出血と動揺は認められず震盪と診断(図④).エックス線検査ではとくに異常所見は認められない(図⑤).☆ツイストワイヤーとフロアブルレジンによる固定を2週間行った(図⑥).☆受傷4か月後:異常所見は認められない(図⑦).エックス線検査においても,AAの歯根および後継永久歯に異常は認められない(図⑧).☆受傷1年5か月後(7歳1か月時):AAは自然に吸収(図⑨).☆受傷2年2か月後(7歳8か月時):11は正常に萌出し,1の切端付近に点状の白斑(矢印)と唇面に外来色素の沈着を認める(図⑩).参考文献1) 橋本敏昭,牧 憲司,赤嶺秀紀,木原由香理,鶴田 靖,木村光孝:外傷による乳前歯の脱臼の1例―4年経過観察―.小児歯誌 34:719‐724,1996.2) Andreasen JO,Andreasen FM著,月星光博 監訳:カラーアトラス外傷歯治療の基礎と臨床. クインテッセンス出版,東京,1995.3) 日本外傷歯学会:歯の外傷治療のガイドライン.日外傷歯誌 8:116‐120,2012.

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