プロフェッショナルデンティストリー STEP2
6/8

Case 4-1 下顎第一大臼歯の咬合面う蝕の修復例Case 4-1a 第一大臼歯の咬合面に象牙質にまで及ぶと考えられる二次う蝕が認められる。歯髄症状もなく、感染歯質を完全に除去したとしても、①咬頭頂間の1/3以内の窩洞形成で収まること、②全周に健全エナメル質が存在することが予測されるため、直接法のコンポジットレジン充填を積層充填法で行うこととした。歯根膜麻酔の後、ラバーダムを用いて防湿を行う。aabbCase 4-1b う蝕検知液を用いて、感染象牙質のみを選択的に徹底して除去することに努める。エナメル-象牙境付近の感染象牙質の除去は、非常に小さなラウンドバーやハンドインスツルメントを用いて慎重に行う。破折しそうな脆弱な歯質以外は、健全歯質の保全を最優先とする。予防拡大は行わない。ddCase 4-1c う蝕検知液にて染色しないところまでを指標とし、必要最小限の侵襲に止める。窩洞形成終了後は、エナメル質にのみリン酸エッチングを行い、水洗・乾燥の後に象牙質を含め抗菌作用のあるセルフエッチングプライマー処理を行い、ボンディング材を塗布して充填操作を行う。ccCase 4-1d コンポジットレジンの積層充填および光重合の後、解剖学的形態を考慮して形態修正、咬合調整を行う。滑沢な面が得られるまで研磨を行うことで、術後の変色を防ぐことができる。修復の必要がある範囲が咬合面のほぼ中央部に限局していることと、咬合接触部点を考慮して直接法のコンポジットレジン充填を治療法として選択したことで、当該歯の予知性は高まったと考えられる。なおこの症例においては、患者の希望であえて小窩裂溝にステインは用いていない。Case 4-1e 著者は、第二大臼歯のう窩が形成されていない初期のう蝕は現在のところ削除していない。これら部位はDIAGNOdent Penの値を経時的に追いながら、予防・メインテナンスアプローチを行うべきであると考える。こういった治療法を選択するためには、患者のう蝕治療に対する理解と、予防を含めたホームケアなどの協力が大切である。eeChapter 4修復治療75

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です