咬合再構成 その理論と臨床
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63CHAPTER 6 咬合高径 臨床における咬合高径修正時のさまざまな問題図12a,b 顔面・顔貌から咬合高径を決定するには,あまりにも挙上しないと変化しないため,有歯顎では無理がある.図11a,b 上下のCEJ間の距離の測定は,歯の萌出程度を測定しているに過ぎず,咬合高径を測定しているものではない.ニターを使った咬合高径の決定方法である.筆者は昔マイオモニターの第一人者を九州からおよびして,総義歯の患者で使用したが「高くて噛めない」という.このようにマイオモニターで咬合高径をロウ堤でとるのは難しく,それゆえ,マイオモニターは有歯顎ではまず使用できないだろう. 上下顎セメント‐エナメル境(CEJ)間の測定 上顎のCEJから下顎のCEJまでの距離を測って,咬合高径を測定する.これは歯科商業雑誌などでも紹介されているが,実は歯の萌出度合いを示しているだけである.たとえば,臼歯部を測定するときに,対合歯がなくて挺出していたらどうなるか? そのような歯の複雑な経緯から,上下の顎間距離を測定することはあまり意味がない.上下のCEJ間を測定するということは,歯の萌出度合いがどのくらいあるかを測定しているにすぎない(図11a,b).それゆえ,これも参考にはなるが有効ではないだろう.顔面比率法 顔の比率(ratio)を測って咬合高径を決める.顔は,咬合高径が低すぎると角ばったタイプの顔になり,高すぎると今度は細長いタイプの顔になってしまう.総義歯を装着したときに咬合高径を何mm挙上すると顔の比率が変わるかというと,8mmである.8mmも挙上しないと顔の比率が変わらないということになると,この方法もまた有歯顎ではふさわしくない(図12a,b).臨床的な咬合高径の設定方法とは? 傍証を固めてみると,先述の5つはすべて,有歯顎で咬合高径を決定する有効な手段となり得ない.臨床的な咬合高径の設定方法は,過去から現在にわたりさまざまな方法が示されたが,簡便で臨床的な咬合高径の決め方は以下の方法がよいと思われる(表1).①中心咬合位で模型を咬合器に付着する(中心咬合位が参考にならない場合は中心位).②中心咬合位で咬合器上にマウントされた模型上で上顎図10 経皮内神経電気刺激.baab

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