咬合再構成 その理論と臨床
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92PartⅡ:咬合再構成における問題と対応図9,10 補綴終了時の口腔内写真とエックス線写真.図11,12 2005年にフィクスチャー周囲に骨増生を認める(赤矢印).には上顎左側臼歯部の骨吸収部分も含め,良好に経過している. 以上のように長期症例を追ってみると,メインテナンスと,咬合の確認の重要性を再認識させられる.また,残存させた天然歯については失活歯を失う可能性が非常に高い.そのため,治療計画において,失活歯をどう考えるかが治療計画の鍵となってくる.顎骨のリモデリング インプラント補綴後の顎骨の変化についての報告は数多く,この現象はWolff の法則によるものだと考えられる.すなわち「骨の形態と機能.または骨の機能のみが変化したときは,つねにその内部構造に明確な変化が現れ,続いて外形も変化する.その骨の機能に有利な本来の形態に順応していく」ということである. たとえば,今回の症例のように,フィクスチャー周囲の歯槽骨が増生してくるようなケースもみられる.また,遊離端欠損でよく認められるのが,臼歯の咬合が甘くなってくる現象である.臼歯の咬合が甘くなることにより,下顎位が偏移し,顎関節症をきたすケースも見られる.この現象は,下顎骨のリモデリングによるものと捉えることができる. どこかのタイミングで,リマウントを行えばある程度防ぐことができるのではないだろうか.しかしながら最終補綴の材料によって,制限される.コスト面も含め,課題の残る問題である. さらに,コンタクトの離開はしばしば認められるが,天然歯の移動や咬合の変化によるものなど,さまざまな原因が予測されている.これに関しても骨のリモデリン91011a,b12a,b

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