新 内科のツボ
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高齢者は、老化にともない生理的機能は低下し、歯科疾患以外に複数の疾患に罹患している場合が多くあります。しかし、その主治医である内科医が、必ずしも患者さんのその日の現状を的確に把握しているとはかぎりません。訪問歯科診療にありがちな重症患者になればなるほど、刻々と病気の容態、そして全身状態が変化していると考えておくべきです。 そのため、訪問歯科診療においては、歯科医自ら当日の患者さんの全身的状態を注意深く観察する必要があります。 訪問歯科診療は患者さん、患者さんの家族にかぎらず、いろいろなところから依頼を受けます。患者宅に訪問する以前に、患者情報を収集し整理しておきます。(1)既往歴、現病歴 通院できない理由が外傷であれば、既往歴、現病歴に関しては通常の患者さんと同じく、歯科疾患以外の現在かかっている病気が、自律神経反射などによって恒常性を破綻する危険性があるかどうかを判断するために必要です。 また、外傷以外の内科的疾病であれば、歯科処置が恒常性を破綻させないようにするため以下のような情報を整理しておきます。 必要に応じて、担当内科医に、病態確認するために加療状況などをさらに照会する場合があります。(2)入院経験 入院したときの病名、入院時期、手術、輸血の有無を聞きます。 たとえば発症3か月以内の心筋梗塞では、歯科治療が禁忌とされています。このように病気の発症時期によっては、歯科治療を控えなければならないこともあるので聴取を行うのです。 (3)主治医 病態を問い合わせるために、主治医を確認しておきます。 1)患者情報の収集1訪問歯科診療での留意事項344

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