痛みの特徴から主訴を解決するやさしい診査・診断
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患者の訴えは電話で伝えられる.そのなかから緊急的に対応しないといけない患者を見逃さないために,電話対応チャートがあると便利である(図3-1).とくに複数のスタッフが電話対応するクリニックでは,患者の訴えを聞きとるためのフォーマットを作っておくと聞き漏らしもなくなる.電話対応で重要なのは,「腫れがないか,痛みがないか」という問診である.詰め物がとれたとか,冠がとれたとか,噛む場所がないなど訴えて緊急的に診察を希望する患者も多いと思うが,治療学上で緊急的に治療を行う必要のあるものは,そう多くはない.主訴に関しては,脱離した補綴物などを仮着あるいは仮充填し,患者の本質的な問題を解決できるように臨床を進めることができればよりよい.初診セット痛みの問診票(患者用.Pain Questionnaire) 主訴を記入してもらうチャートが図3-2aである.特徴は,何もしていないときにも痛み(自発痛)があるか,刺激を加えたときに痛み(誘発痛)があるか,ということを分けて問診できるようになっている.問診票の裏面は図3-2bである.患者に痛み(自発痛,誘発痛別)の程度を時間軸で表現してもらう.この図が正しく書けていれば,最低でも患者の訴える痛みが歯原性か非歯原性かを鑑別することができる.患者情報チャート(Visiting Chart) 患者氏名,住所などの連絡先を十分に時間のあるときに記入してもらっている(図3-3).したがって記入されていない部分があるということは,何らかの理由で情報を開示したくないという心理的な現れであるし,患者のコンプライアンスをも知ることができる.口腔健康アンケート(Oral Health Questionnaire) 私たちのところでは患者が来院する前に自分の口腔内の健康を考えることができるようにアンケートを記入してもらっている(図3-4).このアンケートはWeinstein教授のいるWashington大学で用いているものである.このアンケートには,シートベルト着用とか行動を変容することができるかという内容の質問がいくつか用意しており,自宅でじっくりと記入できるため,その時間が患者にある種の変化を与えるきっかけにもなる.術者側からみると,患者がこれから変化していくことができるかどうかの判断の目安にもなる優れたアンケートである.電話がかかってきたら61

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