痛みの特徴から主訴を解決するやさしい診査・診断
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場合によっては鈍痛と拍動痛が異なる2つの原因による場合も考えておく必要があるが,患者がとくに気になっているのは拍動痛である.口腔内右側で拍動性の疼痛を引き起こしそうな,歯髄や感染根管および歯周炎はみあたらない.また,全身疾患と関連するような拍動痛ではない. 唯一,₇の遠心部は築造部よりオーバーハングが明らかで,さらにその上に仮歯が装着されており,健全な歯質は歯肉縁下にあるため,ブラッシングが不可能な状態になっている.仮歯を除去しプロービングを行い,疼痛が増強するかどうかを確認することと,歯肉部位に浸麻診(プロービングの際に痛みが増した部位に麻酔を行い,自発痛が消えるかどうか,その際できるだけ歯全体に麻酔しないように気をつける)を行うことで鑑別診断できる.また疼痛を感じている時間が長期間にわたることからも,神経障害性疼痛との鑑別も必要となることがあるので注意が必要である.診断 ₇:₇遠心部の歯肉炎由来の自発痛 左上奥歯:₆₇部の知覚過敏症状治療 昼間は上下の歯があたらないように顎をリラックスするよう指導.₇の築造形態を改善し,仮歯を修正,ブラッシングにより炎症のある歯肉の改善を試みる.口腔内全体の衛生管理後,疼痛消失後に₇の補綴治療を行った.左上に関しては,誘発痛を確認した後,それが認められた₇の再充填.症例の特徴 これほど問題がこじれてしまった症例では,さまざまな治療がなされており,もともとが何が原因だったのかが非常にわかりにくくなっているうえに,心理的な影4PPP-736251---736251-736251---736251PlaqueGingivltisProbingFurcationMobilityRecession右下左下図5-11b 下顎のプロービングチャート.ケーススタディー187

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