その補綴に根拠はあるか
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治療選択のコンセプト治療計画の立案初期治療・前処置支台歯の選択設計・製作咬合調整メインテナンス・経過観察Section 3 補綴を前提とした口腔内の環境整備で大事なことは? [症例1]歯内の根尖側移動術により生物学的幅径を確保した例図2a、b 生物学的幅径を確保するために行った根尖側移動術。図3a~c 欠損補綴を前提として歯周外科処置を行った。図4a インプラント二次手術時に遊離歯肉移植を実施した。図4b 術後にはインプラント周囲に付着歯肉が獲得されている(写真は小野善弘先生のご厚意による)。 [症例2]欠損補綴前に歯周外科処置を実施した例 [症例3]遊離歯肉移植でインプラント周囲の付着歯肉を獲得した例歯肉が周囲にあるほうが有利であり、治療結果の永続性は望めるといえる13-16(図4)。 義歯の耐圧域を顎堤上で決める際にも、付着歯肉部は「固定部」であり有利である。義歯床の面積を増やす方法として「口腔前庭拡張術」や「小帯切除術」が行われてきているが、その多くは目的を果たせずに終わっていることが多い。これは単に可動性の組織を押し広げた結果になっているからであり、付着歯肉の範囲を広げることを目指した術式を行えば、より確実に前庭部は拡張できる(次頁症例4)。 付着歯肉の獲得の方法としては、根尖側移動術あるいは遊離歯肉の移植が考えられる(図5、6)。メインテナンスを容易にする 歯周ポケットを残した状態でもメインテナンスは可能であるとする考え方もある。しかしながら、ポケットの深さが3~4mm以上になれば、患者自身はもとより、たとえプロフェッショナルが行っても歯石除去などのメインテナンスが困難であることは、Warhaug18、Stambough19の報告でもすでに明らかにされている。言い換えれば、深いポケットを残したまま「よく磨いてください」「よく手入れしてください」と言っても、実際には不可能なことを指示しているにほかならない。aabbabc31

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