その補綴に根拠はあるか
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治療選択のコンセプト治療計画の立案初期治療・前処置支台歯の選択設計・製作咬合調整メインテナンス・経過観察Section 8 パーシャルデンチャーによる欠損補綴を成功させるには?“最大の支持の確保”を第一に考えたうえで9つの手順とポイント(表2)に基づいて設計・製作する方法をお薦めしますCheck!2長期の使用に耐えうるパーシャルデンチャーの設計・製作法は?最大の支持を確保する(床ならびにレスト)1把持要素を設定する(ブレーシング)6人工歯の排列を考える(位置と咬合)2間接維持を設定する7連結装置を設定する(大連結子)3義歯全体として剛性を確保する(補強)8着脱方向を決定する(ガイドプレーン)4メインテナンスのプロトコールを設定する9最小限度の維持で設定する(維持装置)5表2 パーシャルデンチャー設計・製作の9つの手順とポイントなぜ支持を第一に考えるのか─維持から支持への考え方の変遷─ パーシャルデンチャーの設計の変遷をみてみると、「維持」中心から「支持」中心への流れであったといえる。黒田8が『コーヌスクローネ』のなかで述べているように、それは大きくみれば支台装置の変遷である。クラスプ、アタッチメントからテレスコープ、コーヌステレスコープへの流れがあり、それはとりもなおさず支持の重要性を考慮したものである。とくに遊離端欠損あるいはすれ違い咬合の症例において、この考え方は重要になる。義歯床の面積 義歯床は広ければ広いほど良いように思えるが、当然、解剖学的・機能的な制約もある。岸9は粘膜の被圧変位量と床面積との関係を明らかにしている(図3)。このグラフでもわかるように、顎堤粘膜にはその上に載る床にある一定以上の面積があれば、その沈下量は変化しない。したがって、可動域を避けた必要十分な範囲の印象採得をすることを心がけるべきである。図2 被圧変位と床面積の関係の模式図。加圧面が広くなると沈下は抑制される。図1 パーシャルデンチャー設計の第一段階は支持の領域(床・レスト)の範囲と位置の決定にある(文献10より引用改変)。最大の支持を確保する(床ならびにレスト) (図1、2)Point195

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