別冊 YEARBOOK 2015 治療計画プランBの歯科臨床
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別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2015」 歯科医院に患者が来院する理由の多くは,痛みや違和感によるものである.痛みは細菌による組織炎症に起因するものであるから,消炎治療や細菌感染の除去は,応急処置として歯科医師が行わなければならない仕事である.その際に,最低限のインフォームドコンセントは行わなければならないが,この際の治療はどちらかというとDOS(Doctor/Disease Oriented System)に則った歯科医師もしくは疾患主導の治療になることが多い. 従来の歯科治療では,その後の補綴処置もDOSに則った治療が行われていることが多かったと思われる.しかし,1968年に米国の内科医Dr. Weedによって提唱されたPOS(Patient/Problem Oriented System)という考え方のもとで,患者の意見に配慮した全人的医療と,主訴だけを解決するのではなく患者が抱えている他のすべての問題に対して診査・診断を行い,問題点を抽出し解決していくという診療システムが,現代の歯科治療には必要だと考えられている.そのうえでPOMR(Problem Oriented Medical Record:問題志向型診療記録)やSOAP(Subjective data:主観的事項,Objective data:客観的事項,Assessment:評価,Plan:計画)などの診断ツールを利用していくという手法が,今では歯科医師教育過程に組み込まれている(図1). 本稿では,筆者が米国で学んで来た補綴治療のあり方をもとに,日本での診療のなかで治療計画を立案する際に考慮していかなければならない点をまとめていく.患者を第一に考えたうえでグローバルスタンダードな診断を!現代の治療計画の立案方法とその勘所須田剛義大阪府開業 須田歯科連絡先:〒530‐0017 大阪府大阪市北区角田町8‐47 阪急グランドビル22階DOSからPOSへの変遷「日常臨床においては『痛みと炎症の除去はDOS,補綴(リハビリテーション)はPOS』との考えのもと,グローバルスタンダードな診断基準を提示できることが重要である」12

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