歯科衛生過程 HAND BOOK
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刊 行 に あ た っ て 本書は、東京医科歯科大学口腔保健学科同窓生の有志勉強会「アザレア」で、歯科衛生過程を学ぼうとの遠藤圭子先生の鶴の一声から始まりました。メンバーが症例を持ち寄って歯科衛生過程で検討してみると、経験豊富なメンバーは、対象者の生活を見、全人的に捉え、対象者の問題をみごとに解決していたことがわかりました。 しかし、どのようなプロセスで問題解決に至るのかを歯科衛生過程というツールを使って、文章で詳細に表現するには、手引きが必要と実感しました。歯科衛生士による問題解決プロセスを文章で表現できれば、学生も対象者も他職種も歯科衛生士が考えたことや対象者の反応を知ることができます。その後、本書の企画があがり、私達はメンバーから提出された症例の一つを選び、歯科衛生士として、臨床で対象者の状態をどのように観察し、どのように判断し、何を根拠として対象者の問題解決にあたっているのかを改めて考えました。それから、筆者にお鉢がまわり、執筆することになったのです。 さて、お鉢を受け取ったものの、学生や経験の浅い歯科衛生士に理解してもらうには、どう伝えればよいか頭を悩ませました。歯科衛生士の専門的視点で対象者を全人的に観る目を育て、対象者の問題や現象がなぜ起こっているのかを考え、それらのプロセスを文章表現できるようになるために、歯科衛生過程というツールをどのように紹介すればよいのか。海外の文献や日本の看護過程の本に目を通しては、学生に教え、試行錯誤しながら、形をつくっていきました。本書は、Darbyらの理論をベースにして歯科衛生過程を展開しながらも、日本での教育実践や現場の症例、そして歯科衛生過程の大もととなる看護過程を参考にして、改変を加え、少しでもわかりやすくなるように言葉を選んで作りました。 2015年は、歯科衛生士法が改正され、歯科衛生士の専門学会である日本歯科衛生学会が設立10年目を迎えます。この記念すべき年に、この本が刊行されることに何か意味深いものを感じます。 最後に、本書の出版に際して、ご高配をいただきましたクインテッセンス出版編集部長の畑めぐみ様をはじめ、編集部の方々に深く感謝いたします。この本が、歯科衛生過程を学ぶ皆様の手引き書になれば幸甚です。2015年1月千葉県立保健医療大学健康科学部歯科衛生学科 教授吉田直美

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