歯科衛生過程 HAND BOOK
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つまり、歯科衛生士として大事なことは、①対象者の「現在」の問題を見つけ出し、②「現在」を見て、「過去」を推察したり「未来」を予測しながら、③「現在」の問題を大きくしない・問題をなくす・良好な状態を継続させる・より良い状 態にしていくための介入、支援を意図的に行うことです。例えば図1-2は、先にあげたA、B、Cさんが現在抱えている問題を解決し、どのような目標の下、どのような介入が必要かを現在、過去、未来に照らし合わせて考えたものです。 図1-2からもわかるように対象者の現在の問題・必要な問題解決・介入・支援の目標は、人それぞれ異なります。その上、う蝕や歯周病などの歯科疾患の発症には様々な要因が絡んできます。 となると、歯科衛生士として対象者へ可能なかぎり最善の「歯科衛生介入」や「支援」を行うためには、①対象者が現在抱えている問題は何か②その問題の複雑、かつ絡み合う原因は何か③問題解決のためにどのような計画、介入、支援が望ましいかを順を追って考え、問題解決(=目標達成)にたどり着けるよう意図的に介入していくことが必要となります。しかも、それは独りよがりではなく、専門家として根拠を持った介入でなくてはなりません。そのために必要な「考えて行動する過程」が「歯科衛生過程(Dental Hygiene Process)」であり、「対象者が抱えている問題を明確化し、問題の解決方法を計画し、介入していくために必要な一連の思考と行動のプロセス」と定義できます。 歯科衛生過程は、米国歯科衛生士会(ADHA)によって1985年その原型が紹介されました。そののち、1993年にDarbyとWalsh によって、歯科衛生ヒューマンニーズ概念モデルが論文で発表され、2000年には、歯科衛生ヒューマンニーズ概念モデルの臨床応用が紹介されています。現在、歯科衛生過程は北米の歯科衛生学教育における履修項目となっています。1.歯科衛生過程とは

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