改定新版 インプラント治療に役立つ外科基本手技
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36Chapter4持針器の把持法粘膜面運 針ba図4-2a,b 持針器の先端は、縫合針の弯曲に応じた円周軌道を描くのがよい。a:円周軌道の模式図。b:円周軌道を意識した縫合針の組織内での通過。(:軌道、•:回転中心、:持針器先端)図4-3a,b 持針器の回転運動。a:回転運動の模式図。b:運針後半での持針器の回転運動によって縫合針は途中で曲がりやすくなる。(:軌道、•:回転中心、:持針器先端)baこの縫合針の弯曲に合わない軌道による運針は、初心者が何度も針を曲げてしまう大きな原因と考えられる(図4-3)。 ところで、針先がブレない円周運動を描くには、その縫合針を把持している持針器の先端もブレのない円周運動を描くように持針器を操作する必要がある。そのためには持針器を持つ指のうち、もっとも縫合針に近い脚部に添えた人差し指を持針器先端にやや近づけ、持針器全体の動きをコントロールするとよい。これによって縫合針の運動をコントロールする役割を人差し指に担わせるようにする(図4-4)。さらにその人差し指は、軽く曲げて柔らかく持針器に添わせるのがよい。人差し指をまっすぐに緊張して添わせると、縫合針の円周運動の後半で手首の動きが制限されてぎこちなくなり、運針の後半でのブレの原因になるからである。 さて、人差し指が持針器脚部に添えられた場合、持針器全体を十分に支えるためには、おのずと輪には中指でなく薬指が入るはずである。中指を輪に通す把持法で人差し指を持針器先端に添えると、把持が不安定になるばかりか、持針器先端もふらついて細かい動作が行えなくなる。中指を輪に入れて持針器を安定させるには、人差し指を輪の前縁まで後退させなくてはならず、

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