改定新版 インプラント治療に役立つ外科基本手技
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64Chapter8結 紮器械結びの方法とポイント図8-6a 右利きの術者が、左側下顎臼歯部を縫合する場合を想定する。図8-6c 自由糸端が遠くにある場合の第1の結節の糸締め方向は、持針器先端を自由糸端のあった反対側へ向かって引くと縫合結節が自然な状態になる。しかし口腔では、口角や舌などの周囲の解剖学的な制約のために糸締め方向が規制されやすい。左側の手にある縫合糸の糸引きとのコンビネーションが重要である。図8-6e 第2の結節の糸締めの方向は、第1の糸締めの方向と逆になるようにする。第3の結節は、再び図8-6bの操作に戻る。第1の結節は創面がきれいに合うことを確認すればよく、無理に締めつけすぎずに第2の結節で結び目が緩まないように締め込むとよい。ただし縫合部位の組織が白く貧血したり、組織に縫合糸が食い込むような緊張の強すぎる縫合は避ける。第3の結節は、第2の結節が緩まない程度の力で行うのがよい。またナイロン糸の場合、3回は結ばないと縫合結節が緩んでくる。図8-6b 術者が患者のやや前方に位置しており、短いほうの自由糸端が術者側から見て縫合部位の遠くにある。この場合、持針器の先端は近くにある長い縫合糸の上に置くようにしてループを作っていく。もし、術者が後方ぎみに位置しており、自由糸端が縫合部位より術者側にある場合は、逆のループから作り始めると第1の結節がねじれない。またループ作りは、口腔外で行ったほうが左右の手の自由が利く。図8-6d 図8-6bとは逆のループを作る。左右の手をぶつけ合うように近づけてループを作るようにすると、慣れてくれば視線を術野に固定したまま操作が行える。

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