インプラント YEAR BOOK 2015
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インプラントメインテナンス時代の到来―攻撃型インプラントから守備型インプラントへの移行―具体的には,インプラント周囲炎へのかかりやすさを含めた話ですね.これは倫理的に不可能な実験ですが,たとえば臼歯部で,大きく張り出した形態の補綴物をセメントリテインした場合と,普通の立ち上がりでスクリューリテインした補綴物をスプリットマウスデザインで比較したら,インプラント周囲炎の罹患率には有意差が出るんじゃないかと思います.鈴木 同感です.以前,歯肉縁下のプラーク除去に関して,各種器具の効果を比較する実験を雑誌で紹介したことがあります5).その実験は2つの症例で行ったのですが,それぞれ歯肉縁下の形態が違う症例を選びました.一つは斜めにテーパーで立ち上がるタイプ(症例1-a~d),もう一方は歯肉縁の際で段継になっていて,そこから上にぐっと広がるタイプ(症例2-a~d)です.どちらも結果としては,デンタルフロスを用いた場合に歯肉縁下のプラークをもっとも除去できていたのですが,取れている割合が違いました.よりカントゥアが張り出しているいびつな形のほうが残っています(図2).すなわち,プラークコントロールしにくい形態と推察できます. プラーク残留という点で考えると,シンプルかつスムースなテーパード型のインプラント上部構造を装着した症例(症例1-a~d)段継状の形態をしたインプラント上部構造を装着した症例(症例2-a~d)症例1-a~d 患者は64歳,男性.2008年5月に下顎右側第一大臼歯部にインプラントを埋入し,2008年12月に上部構造を装着.図1 症例1の患者がデンタルフロスを用いた場合のアバットメント基底面の状態.プラーク除去に関して,他の器具に比べても非常に高い効果が得られた.図2 症例2の患者が自身でデンタルフロスを用いた場合の上部構造基底面の状態.近心側と遠心側ではプラーク除去の結果が大きく異なる.症例2-a~d 患者は63歳,男性.2012年5月に下顎右側第一大臼歯部にインプラントを埋入し,2013年1月に上部構造を装着.症例1-a症例1-b症例1-c症例1-d症例2-a症例2-b症例2-c症例2-dBLDM11

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