21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト
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67歯周病の早期発見・早期治療 優秀な歯科衛生士に求められることは、①歯周病を発症させない(一次予防)、②早期発見・早期治療(二次予防)の2つです。歯周病が発症しないように、歯肉が健康な若い時からメインテナンスを継続し、歯周病の発症を患者さんの人生をとおして予防することが理想です。歯科衛生士さんの努力で遺伝的な要因が強い侵襲性歯周炎の発症を防げた症例も報告されています。どんなに重症の歯周炎も、始まりの時期はあります。その時を見逃さない目をもって早期発見・早期治療をする、これが歯科衛生士のミッションです。ミッションコンプリートのためには、歯周病の危険因子についても知っておいてください。歯科衛生士のミッション2バイオフィルムを高病原性化するP. gingivalis 病原性の高い歯周病菌が患者さんのバイオフィルムにいるかいないかはとても重要なことです。レッドコンプレックスの3種類の細菌はもっとも歯周病原性が高く、歯周病の大きな危険因子です。レッドコンプレックスの中で、特に高病原性の細菌がP. gingivalisです。しかし、すべての種類のP. gingivalisが高病原性というわけではありません。この菌の表面に生えている毛(線毛と呼ぶ)の遺伝子型が異なると病原性が違ってきます。線毛遺伝子は6つの遺伝子型 (Ⅰ~ⅤおよびⅠb型)に分けられ、非常に病原性が高いものと、それ程でもないものがいます。線毛遺伝子型が異なると、まるでP. gingivalisの髪型が違うように見えます。電子顕微鏡で撮影した細菌像をお見せします(図5-2)。もっとも病原性が高いⅡ型の髪型はパンチパーマです(怪しい髪型は人間も細菌も同じなのでしょう)。危険因子① 病原性の高い歯周病菌3壊し歯周炎を進行させます。図5-3にあるように、Ⅱ型のP. gingivalisに感染すると、非感染の場合と比べ44.44倍も歯周炎が発症する危険性が高くなります。歯周病のリスク因子として有名な喫煙や糖尿病に比べてかなり高い値です。Ⅱ型のP. gingivalis感染で発症の危険性44倍 パンチパーマ型のP. gingivalisは素早く歯周組織の細胞の中に侵入し、さまざまな傷害を細胞に与え歯周組織を破

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