Digital Dentistry YEAR BOOK 2015
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43株式会社アイキャスト(図4)。 「歯科技工所の要望に応える機械開発」にこだわり設計されたこの機械の最大の特徴は「湿式加工」である(図5)。粉塵の飛散を防ぐことで作業者の健康被害や周辺機器への影響を防ぎ、機器やラボの清掃も容易になる。バキューム不要、バーの耐久性向上やチッピングの防止といった利点もある。1時間の赤外線ライト下での乾燥時間が必要となるが、乾燥時間に別の作業を行うことができるため、ワークフローを見直せば作業効率の改善へとつなげることができる。湿式でジルコニアを切削した際の物性の変化については、条件にしたがい作業を行えば物性や色調の変化などの問題は起こらないことが社内検証にて確認されている。実際、ヨーロッパやアジアの先進諸国において、近年乾式から湿式へと主流が変わりつつある。 スピンドルは大きく頑丈なものを採用。回転数は最大50,000回転(rpm=50,000/分)で、表面硬度の高いハイブリッドレジン材料などの切削にも適している。また、頑丈なスピンドルとのバランスをとるため一定の重量をもたせ、安定したボディを採用。結果、切削時の振動やブレを最小限に抑え、精度の高い補綴物の加工を実現した。ベレッツァ5xミリングマシン このミリングマシンは4xと同様の機能に加え、チタン、コバルト・クロムなどの金属の切削が可能である。加えて5軸加工を行うため、カスタムアバットメントやインプラントバーなどが加工可能である。インプラント補綴を積極的に行う比較的大型の歯科技工所に適した機械と言える(図6)。ディスク・ブロックともに取り付けが可能で、ブロックの同時取付可能本数は5本である(図7)。歯科技工士が開発したCAMソフト「hyperDENT®」 CAMソフトは、CADソフトで設計したSTLデータを、ミリングマシンなど加工機を使って設計通りに加工するには機械をどのように動かせば良いかという指示(加工パス)を算出する。精度の高い技工物の製作には、スキャナーや加工機の性能に加え、加工機のパフォーマンスを左右するCAMソフトが実は非常に重要となる。 hyperDENT®は、航空宇宙産業や自動車の部品製造用のCAMソフトを手がけるドイツ企業の開発者と歯科技工士が、 品質の高い歯科技工物の製作を実現するために開発したCAMソフトである(図9)。 ミリングの場合、パスを計算する前に、材料のどの部分に補綴物を配置し切削するかを決定する「ネスティング」作業や、切削した補綴物の材料からの脱落を防止する「コネクタ」およびジルコニア焼結時の変形予防のための「シンタリングピン」の設定などが必要で、コンタクトポイントやマージンには設定しないなど一定の規則がある。しかしながら、hyperDENT®は特別なトレーニングを必要とせず、直感的に理解できる操作画面でステップにしたがい操作することで簡単に各材料・デザインに最適な加工パスを算出することが可能図2 3Shape D900でスキャンした模型の3D画像。図3 3Shape CADソフトデンタルデザイナーのモーフィング機能。形状を簡単・自在に変更させることが可能。図4 4xミリングマシン。ブロックを6本セット可。図6 5xミリングマシンによるインプラントバー加工の様子。図7 5xミリングマシンのインゴット装着時。図5 4xミリングマシンでジルコニアを湿式加工する様子。

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