新 矯正歯科治療論
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17セファログラムの使い方は十分か矯正歯科治療の次世代を切り拓くためのメソッド 4 セファログラムとセファロトレースは,矯正歯科臨床に利用され始めて以来,診断に大きな役割を果たしてきた.しかし,症例や論文に数多くあたっていると,論文の筆者自らがその価値を削ぐようなセファロトレースに接することがある.つまり,たくさんの情報が詰まったセファログラムを写し取ったわりには,あまりに内容が不十分なセファロトレースが多すぎるのだ. 頸椎を含めた硬組織のみならず,鼻腔や咽頭,扁桃,舌などの重要な軟組織が正確にトレースされていないセファロトレースは,セファログラムに写っている情報が診断に反映されなくなることであり,それは治療結果や予後の安定にも大きく影響する.セファログラムに写った情報を最大限に把握しようセファロトレースの悪例・好例第1章 │矯正歯科治療の次世代を切り拓くためのメソッドセファロトレースの例 ❶ ― 簡略化されすぎている簡単なスケッチは描かれているものの,頸椎をはじめ乳様突起や環椎後頭関節,関節突起,筋突起などの硬組織,また鼻腔や軟口蓋,舌,アデノイド,扁桃などの軟組織といった診断に必要な多くのものが描かれていない.歯と上顎や下顎が簡単に描かれていれば,他の組織は診断に必要ないということはあり得ない.※例として挙げたセファロトレースは,国内外の専門誌等に掲載されたものから再編成した.図8 Broadbentによる初期の側方セファログラム(参考文献22より引用).×

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