新装版 歯科臨床医のための いざという時、この処方!
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高齢者薬用量はどれくらい?高齢者の薬用量はできるだけ少量から用いることが原則である.成人量の1/2,安全医薬品で2/3を目安とし,病状や医薬品の種類により適宜増減させる.また,50歳から1歳を加えるごとに成人量から1%ずつ減じ,60歳で10%,70歳で20%減ずる場合もある. *一般的には,高齢者は加齢とともに諸臓器機能が低下している.しかし,小児と異なり同一年齢でも臓器機能低下に対する個人差が大きく,計算式から画一的な薬用量を算定することが困難である.*高齢者の老化に伴う薬物有害作用は、加齢とともに諸臓器機能の低下が起因しており,とくに呼吸器,心臓,腎臓の機能低下が著明である.歯科で繁用される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は腎臓でのプロスタグランジン合成を抑制し,腎血流量を低下させることがあるので,短時間作用型あるいはプロスタグランジン合成抑制作用の少ない薬物が用いられる.急性感染症に対しては,免疫力が低下しているので強力でかつ腎排泄型の抗菌薬を用いなければならない.この場合,腎機能にはとくに留意しなければならない.また,血漿タンパク質が高齢者では減少しているため,とくに酸性型薬物のNSAIDsは遊離型が増えることで薬理作用が大きくなる傾向がある.したがって塩基性のNSAIDs(チアラミド)などが推奨される.●高齢者に推奨される腎プロスタグランジン生成の抑制作用の少ない非ステロイド性抗炎症薬:塩酸チアラミド(ソランタール)鎮痛薬:アセトアミノフェン(カロナール)●高齢者に推奨される短時間作用型非ステロイド性抗炎症薬(腎血流量を低下させる場合があるので注意):ロキソプロフェン(ロキソニン),ジクロフェナク(ボルタレン),メフェナム酸(ポンタール)A基礎疾患を持つ方への投薬BCDEFG付録C75

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