インプラントの長期予後確立に向けた治療戦略
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シンポジウム1天然歯とインプラントの共存佐々木 猛 Takeshi Sasaki (大阪府開業)1995年 大阪大学歯学部卒業医療法人貴和会理事、貴和会新大阪歯科診療所院長JIADS理事・常任講師、長崎大学歯学部非常勤講師はじめに インプラント治療が臨床に取り入れられるようになって30年以上が経過した。当初は無歯顎に対する機能回復(図1)がおもな目的であったが、その適応症は部分欠損症例にも拡大し、2000年代以降は審美領域(図2-a、b)にも積極的に用いられるようになってきた。それにともない、インプラント周囲の硬・軟組織の増大術などのさまざまな術式も発展し(図3-a、b)、機能性のみならず審美性の回復も天然歯とほとんど変わらないほど高いレベルで可能になっている(図4-a、b)。今やインプラント治療は欠損補綴の第一選択として広く認知されており、多くの患者がその恩恵を享受している。その一方、インプラントにかかわる諸問題も頻発しており、特にインプラント周囲炎1、2)は社会問題にまで発展し、今後われわれが解決に向けて真剣に取り組まなければならない課題である。 本稿では、部分欠損患者において、インプラントを天然歯と共存させ、良好な長期予後を得るために必要な諸条件について考察したい。図1 インプラント治療の当初の目的は機能回復であった。図2-a、b インプラント治療の適応症は審美領域にまで拡大し、機能性のみならず審美性の回復も求められるようになってきた。図3-a、b 硬・軟組織の増大術は著しい発展を遂げ、以前なら不可能であった状態に対してもインプラント治療が可能となった。abab12

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