繋ぐ
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はじめに7はじめに 日本は地震の巣である。自然の災害と地形とはいつでも関連がある。地震の巣と呼ばれる多発地帯など、地震学者を含めた災害にかかわる多くの専門家がその示唆を示してきた。地球規模での解析もあるとは思うものの、地域で暮らす者がその地域の災害リスクを十分に知っているだろうか。知っているとは何を意味するだろうか。知っていること、知らずにいたこと、これは東日本大震災を含めた大規模災害と直面した方々だけではない。 突然の土石流や、予期しなかった洪水被害、被害にあった方々が災害のリスクとみずから暮らしている地域の災害リスクを熟知しているだろうか。万一に対応できるだろうか。今一度、この問いかけをしたい。これは、震災はわれわれから何を奪い、震災からわれわれは何を得たのか、との問いかけでもある。 災害で失ったものの大きさが大きいほど、その経験を伝えることは、その場に居合わせた者として果たすべき役割は間違いなく大きい。そして、その役割としての発言は、さまざまな立場から発出されることが重要なのだ、と思う。この重要さを繋げよう、共有しよう、そのように思う。しかし、われわれの想像も想定も超える震災であった福島県の原発被害は、いまだ解決策も見えず今後も不明のままである。私たちは何ができるのか、何をすべきなの

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