繋ぐ
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繋ぐ ― 災害歯科保健医療対応への執念 ―161・17から10・24そして3・11へ 私たちは、「1・17」「3・11」を迎えるたびに、懺悔からの誓いを新たにする必要がある。平成28年3月11日、東日本大震災から丸5年。私は「3・11」を迎えるたびに悔恨の念を込めて誓う。「どんな災害であっても、せっかく生き延びた命を無駄に亡くしてはいけない。被災者の命を守る努力は災害に関わる者の最大の使命だ」と。この「怨念」ともいうべき思いの根源である阪神・淡路大震災の苦い経験は、21年経った今も心の底に幾重もの澱おりとなってくすぶっている。 1月17日の神戸の朝は、ローソクの明かりと鎮魂の黙とうで始まる(図1)。あれから22回目の冬となる今年の「1・17」は寒中穏やかに明けた。平成7年1月17日午前5時46分に淡路島北部を震源とするマグニチュード7・2の兵庫県南部地震は、深さ12 kmの浅い地点からの揺れのため、観測史上初めての最大震度7を記録した。この地震による死者6434人という未曽有の被害は、わが国の近代史において戦争を除いて最大の被害とされ「阪神・淡路大震災」と命名された。 災害は突然に、そして人間の弱いところを見透かしたように襲いくる。海の真ん中で海底火山が爆発しても災害とはいわない。そこで漁をしながら暮らす人々の生活に影響が出て初

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