繋ぐ
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繋ぐ ― 災害歯科保健医療対応への執念 ―50地域歯科医療支援室との10年間――大きな1つの区切り 私は、平成28年3月末日をもって、10年近く務めてきた本学新潟病院地域歯科医療支援室の室長を退任し、口腔外科学講座の業務に専念することになった。大きな1つの区切りを迎えたのだ。思えば、この部署は平成16年に発災した中越地震と、新たに保険収載された地域歯科診療支援病院制度への対応を目的に、平成18年に創設された。通常は、前方連携といわれる病院への歯科医院からの紹介患者の管理を中心として、地域歯科医療従事者の支援が主務である。元々、本学は昭和62年に全国の歯科大学・歯学部に先駆けて在宅歯科往診ケアチームを発足させ、訪問歯科診療を開始するなど、大学の方針として地域における在宅歯科医療、高齢者歯科保健を重視してきた。しかし、平成16年に発災した中越地震の歯科医療支援活動への中長期的な参加が契機となり、地域歯科医師会と協働して、より積極的に高齢者歯科医療、在宅歯科医療を中心とした地域歯科保健活動に参画していくこととなった。支援室は窓口として、さまざまな地域保健に関する業務を担ってきた。その重要な仕事の1つが、災害歯科保健医療支援であった。 災害歯科保健医療支援とは、超急性期における口腔顎顔面外傷への対応と、被災地歯科診療所の被害状況に応じた定点もしくは巡回による応急歯科診療、災害関連疾病の予防として

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