繋ぐ
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繋ぐ ― 災害歯科保健医療対応への執念 ―150東日本大震災時の私――ともにこの災害と闘わなくては 平成23年3月11日の東日本大震災は、原子力発電所事故とあいまって、世界的にもきわめて大規模な災害となった。発生後5年を経過した今でも、いまだ復興に多くの課題が山積みで、依然として被災地では厳しい状況が続いている。しかも、今後、首都直下型大地震や東南海トラフ巨大地震などが予想されている。 このような大災害が地域で発生し、特に被災地となった場合に、行政の専門職はどう動くべきなのだろうか。これまでの大震災での多くの教訓から、行政歯科職もしっかりと連携した地域の組織的対応の方途を見出すため、あの時の職場での体験から振り返ってみる。 3月11日、私は神奈川県のほぼ中央に位置する県厚木合同庁舎にいた。ゆっくりぐらぐらっときて、その後、何回か強く大きく揺れた。今までに経験したこともないほどの揺れに思わず、机の下にもぐった。揺れはすぐに収まることなく長い。その後、事務所唯一のテレビ画面の前に職員が集まっていた。これは現実なのか? その映像に愕然とした。その日の神奈川県下の鉄道は、ほとんどが止まったままであった。運転再開の目途が立たず、東京や横浜でも住居の倒壊や火災、天井崩落もあり死傷者も出ている。関東にもかなり被害が出ている報道が続いていた。幹部職員が所長室に集合した。

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