歯科医院内の法律とルール
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歯科衛生士の守秘義務歯科衛生士+スタッフが負っている法的責任とはなんだろう?医療は患者さんの秘密を知ることで成り立つ面も歯科医療の現場では、患者さんの口腔内だけでなく、問診、診察等をつうじて、患者さんの肉体的・精神的な特徴、既往歴、私生活上のことがら、さらに患者さんをつうじて家族(第三者)の秘密に触れる情報に接することがあります。この意味で、医療は患者さんの秘密を知ることで成り立つということができます。また患者さんにすれば、医療側に提供、開示した秘密が守られることを前提に受診しており、医療に対する信頼関係があってこそ医療が有効に機能します。医療における守秘義務は古くから医療の中核とされ、よく知られたギリシャ時代の医学者であるヒポクラテスの「誓い」のなかに、医療行為への関係あるなしにかかわらず、知り得た人の生活についての秘密を守る、との一節があります。法律で定められた医療者の守秘義務とは医療者の守秘義務は、医師や歯科医師については刑法(第134条1項、秘密漏示罪)が規定しますが、歯科衛生士については歯科衛生士法(第13条の6)が「業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と定め、これに違反する場合には処罰(50万円の罰金)の対象とされます。もっとも、処罰するには、秘密を漏らされた被害者からの告訴(捜査機関に処罰を求める手続)が必要とされます(親告罪)。ここでいう人の秘密とは、生きている個人に関する情報であって、一般に知られておらず、また、他人に知られることが本人に不利益となる事実、すなわちプライバシー情報のことをいいます。これより、亡くなった著名人が患者さんにいて、死後、その人のセンシティブ情報を開示したとしても、法62

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