歯周外科のハプニング&リカバリー
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歯肉切除術インプラント周囲炎遊離歯肉移植術(FGG)歯槽骨切除術歯槽骨整形術レーザーによる歯周外科結合組織移植術(CTG)骨移植エムドゲイン歯周組織再生誘導法(GTR法)インプラント治療における歯周外科の応用Q5ハプニング採取した結合組織がちぎれた! フラップに穴が空いた!A5リカバリーいずれもあわてずに処置を行えば、大事に至らないことが多い。 ちぎれた状態では量が不足する場合、ちぎれたところからさらに結合組織を採取して、吸収性の縫合糸で縫い合わせ1つの結合組織として手術を継続する。フラップに穴が空いた場合も、穴の部分を縫合して、手術を継続する。あわてずにリカバリー処置を行えば大事には至らないことが多い。もちろん慎重なメス操作を心がけることは言うまでもない。 実際の臨床では、口腔内は理想的な環境ではなく、難しい要因が絡んでくることが多い。何を目的にどのような処置を行うか、またその際に必要なリカバリーテクニックについて症例(図15)を通じて解説するので、参考にされたい。図15a~c 患者は51歳・男性。下顎前歯に違和感があり、「歯肉に穴が開いているのを治してほしい」との主訴で来院。電気歯髄診の結果₁₁は失活していた。このような歯内-歯周病変では、歯内治療を先に行う。 図15a~u 歯根端切除術と根面被覆術を併用した症例 図15d,e 歯内治療に続いて歯周基本治療を行う。歯肉の炎症は改善しているが、主訴である歯肉の穴は閉鎖されていない。外科的歯内療法と結合組織移植術を併用することを計画した。歯肉退縮はミラーの分類Class3と診断。完全な根面被覆は難しいことを伝え、歯肉の厚みを増し、穴の閉鎖を目的とすることを説明し、同意を得た(d)。切開は隣在歯の遠心隅角まで伸ばし、歯肉弁の大きさを確保するために台形とし、歯肉頬移行部まで入れた。₁の歯根は歯槽骨のハウジングから飛び出しており、根尖まで至る骨吸収像を認めた(e)。図15f 根面のデブライドメントを行ったのち、歯根端の切除を行った。₁は舌側に支持歯槽骨が残っているので舌側の歯根は残しつつ、唇側の歯根を根尖部を含めて切除した。その後逆根管形成を行い、MTAセメントを用いた逆根管充填を行った。図15g 先に穴の開いた歯肉弁を縫合しておく必要がある。本症例では細菌の付着を少なくしたいので、細いモノフィラメント糸(ゴアテックス®スーチャーCV-7)を用いた。図15h 一次切開を入れる位置に注意する。歯肉縁から3mm程度離す。大口蓋動脈の枝を傷つける可能性があるので、第一大臼歯遠心より後方にはなるべく切開を入れない。図15i 二次切開を入れる深さ、角度に注意する。骨膜まで採取する必要はないが、採取した結合組織が薄くなりがちなので、なるべく厚く採取する。結合組織の採取は上皮組織と比べると出血しやすいので、あらかじめ止血に備えておく。adbec82

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