口の中がわかる ビジュアル歯科口腔科学読本
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1解剖と機能口腔/歯および歯周組織1 解剖と機能歯および歯周組織14―15teeth and periodontal tissue形態と構造歯および歯周組織●歯は食物を噛みくだく,白く硬い器官.人体でもっとも硬い.歯は顎骨の歯槽部に歯根膜を介して植立している.●歯は上顎骨あるいは下顎骨に左右対称に配列し,それを歯しれつ列という.歯列は馬蹄形をしており,上顎歯列に下顎歯列が接触することにより噛み合わせが成り立つ.●歯周組織は,歯の周囲に存在し,歯を支える組織のことであり,セメント質,歯肉,歯根膜,歯槽骨の4種の組織から構成されている.●歯は歯冠と歯根からなり,両者の境は歯頸という.●歯は前歯と臼歯にわけられ,前歯は食物を噛み切るのに適した形態(切縁を有する)をしており,臼歯は噛み砕いたり,磨り潰したりするのに適した形態(咬頭,小窩,裂溝を有する)をしている.●歯冠はエナメル質・象牙質の硬組織と歯髄から構成される.歯根は歯周組織でもあるセメント質および象牙質と歯髄から構成される.●エナメル質:エナメル質は歯冠の表層にあり,人体でもっとも硬い組織である.96%以上の無機質と少量の有機質からなる.知覚はない.●象牙質:象牙質は約70%の無機質と有機質,水分からなる.有機質の多くはコラーゲンである.エナメル質と違い知覚がある.●歯髄:歯髄は象牙質の中央にある軟組織である.血管,神経,細胞成分を含んでいる.●セメント質:セメント質は象牙質と強固に結合し,神経,血管構造を欠く骨様組織である. ●歯根膜:セメント質と歯槽骨の間に存在する結合組織.咬合時に歯に加わる圧力を緩圧する役割も果している.また,歯根膜は知覚機能を有しており,歯に加わる圧,痛みを感じることができ,歯および歯周組織の保護に重要な機能を果たしている.担当:山口昭彦,園部純也,別所和久歯歯周組織エナメル質象牙質歯肉(粘膜)歯髄血管神経歯根膜セメント質歯槽骨顎骨臼歯前歯切縁小窩,裂溝歯頸歯冠歯根咬頭

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