外来・訪問診療のためのデンタル・メディカルの接点
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120「口腔ケア」が誤嚥性肺炎のリスクを減らす牛山京子歯科衛生士。1969年、山梨県歯科衛生士学院(現山梨県歯科衛生 専門学校)卒業。山梨県歯科衛生士会を設立、会長15年間。1986年より訪問口腔ケアに携わり、要介護者の口腔ケアの実情を発信。広島大学歯学部、山梨県歯科衛生専門学校等で講義や訪問指導・保健指導を行う。講演会やセミナーも開催。著書に『在宅訪問における口腔ケアの実際』(医歯薬出版、1998)など。 疾患や加齢により身体機能が衰えてくると、高齢者の口腔環境条件は悪化し、口腔内が大変不潔な状態となりやすい。また、オーラルフレイルや摂食嚥下障害などを起こすことが多くなる。このような状況下では、細菌が口腔・咽頭内容物や胃酸とともに肺に流れ込んで、誤嚥性肺炎が生じやすくなる。そのため、口腔領域を清潔に保つこと(器質的口腔ケア)や、口腔機能の改善(機能的口腔ケア)によって誤嚥性肺炎のリスクを減らすことが重要である。 口腔ケアを提供するにあたっては、ノーマライゼーションの理念を基に行われることが前提である。したがって、医療コミュニケーション(癒し・受容・共感)を通して、話し合いながら丁寧に確認し、当事者の生活の場(病院・施設・在宅等)に合わせた口腔ケアを実施していく必要がある。また、具体的な口腔ケアの提案は、病歴、口腔疾患、ADL(日常生活動作)、食環境、家庭環境、口腔清掃状況等を把握し、環境や個性に合わせた最良の方法を模索しなければならない。口腔ケア提供のベースはノーマライゼーション表1 口腔ケアを行うにあたり、身につけておきたいこと。①ニーズに合わせた多様な手法を身につける②多面的な視点と柔軟な対応をできるようにする③コミュニケーション学を踏まえた口腔ケアの知識・技術を習得しておく④生活者の視点での創意工夫ができる⑤当事者に合わせた的確で効率的なケアができる、など誤嚥性肺炎②CHAPTER 13

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