矯正歯科のための重要16キーワードベスト320論文
6/8

アライナーの適応と限界PAGE19418内服薬と矯正歯科治療講演や雑誌でよく見る、矯正歯科の分類および文献22内服薬と矯正歯科治療出典  Bartzela T, Türp JC, Motschall E, Maltha JC. Medication effects on the rate of orthodontic tootmovement: a systematic literature review. Am J Orthod Dentofacial Orthop 2009;135(1):16-26.Treatment plan内服薬は矯正歯科治療による歯の移動(OTM)に影響を及ぼすものがあるため、矯正歯科医は患者の既歴や常用薬について把握し、適切な対応を行う必要がある。NSAIDsに含まれる成分名特徴使用されている薬剤例OTMへの影響サリチレート最も使用されるNSAIDsである湿布 アスピリンリステリン® バファリン®抑制するかは意見が分かれているアリールアルカン酸インドメタシン強い鎮痛・抗炎症作用がある湿布 バンテリンインダシン®抑制するジクロフェナク強い鎮痛・抗炎症・解熱作用がある湿布ボルタレン®完全に止めてしまうアリールプロピオン酸イブプロフェンロキソプロフェンはプロドラッグであるため、胃腸障害が少ないロキソニン®ブルフェン®有意に抑制するが、低用量なら影響しないオキシカム作用時間が長く、1日1回の服用となるフルカム®ロルカム®不明コキシブセレコキシブ選択的COX-2(炎症部位で発現する痛みにかかわる酵素)抑制効果をもつセレコックス®モービック®抑制する歯の移動に影響を及ぼす患者の常用薬●非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs):プロスタノイド合成を抑制することで、鎮痛、解熱、抗炎症作用を有するため、多くの疾患・症状に対し使用される。目的により用法・用量が異なるため、注意が必要である。●NSAIDs以外の鎮痛剤薬剤に含まれる成分名特徴使用されている薬剤例OTMへの影響パラセタモールアセトアミノフェン広く使用される鎮痛薬だが、COX-3(脳内で痛みの知覚に関与する酵素)を阻害するため、抗炎症作用、抗血液凝固作用、消化器への影響がない。そのため、プロスタグランジン生成へタイレノール®カコナール®OTMに影響を与えないという報告があることから、矯正歯科治療中の鎮痛薬の選択として望ましいPAGE19822講演や雑誌でよく見る、矯正微細振動付与やコルチコトミー(歯槽骨皮質骨切術)、オステオトミ(MOP)などの併用で、矯正歯科治療の期間短縮が可能とされている(切なメカニカルストレスがかかることで骨形成が促進されることが知ら位に照射することで骨密度が高まったり治療期間が短縮することが報告応用されている。矯正歯科治療においても、患者の協力が必要であるもしたとの報告も見受けられる一方、治療の科学的根拠が不十分との意見19Accelerated tooth(加速矯正治療)における出典  Alikhani M, Raptis M, Zoldan B, Sangsuwon C, Lee YB, Alyami BS, Khoo E, Teixeira C. Effect of micro-osteoperforations on the rDentofacial Orthop 2013;144(5):639-648.Cheung T, Park J, Lee D, Kim C, Olson J, Javadi S, Lawson G, McCof mini-implant-facilitated micro-osteoperforations to accelerate tDentofacial Orthop 2016;150(6):958-967.解説者コメント:MOP施行にともなう周囲歯槽骨のリモデリング早くなる可能性が示唆されている。しかし基礎研究としては、評価られた。今後、治療の科学的根拠となる、より信頼性の高い研究がTooth movement微小骨穿孔治療(MOP:micro-osteoperforations)を併用した矯正歯科治療※微小骨穿孔治療は従来の外科的治療に比べ観血的処置が少ない。●犬歯の移動量 (対照群を1として図示)●臼歯の移動量対照群32.521.510.50•上顎第一小臼歯抜歯後28日間における犬歯の遠心移動量を測定•被験者20名(19.5~33.1歳)•対照群(男性3名、女性7名) 実験群(男性5名、女性5名)•MOPは犬歯-第二小臼歯間に3ヵ所実施•歯の動き方に有意差はなし•ラットを用いた動物実験で臼歯を近心•臼歯部と切歯にコイルを装着し、左側•臼歯の移動量は、MOP併用側で有意•骨吸収の評価では、MOP併用側の破•骨形成の評価では、MOP併用側の新•MOP併用側と非併用側において、歯実験群MOP非併用側実験群MOP併用側●臼歯の破MO非併破骨細胞数(個/㎟)2.3倍に増加1.44増加MOP非併用側MOP併用側1.86倍に増加移動量(㎜)***0.70.60.50.40.30.20.101614121086420Accelerated tooth movement(加速矯正治療)における歯の移動量PAGE19519先天性欠如とその好発部位PAGE19620講演や雑誌でよく見る、矯正歯科の分類および文献咬合と顎関節の関係とその代表例矯正歯科治療時に注意すべきこと咬合が顎関節に影響を与えた場合●機能的不正咬合(下顎安静位から中心咬合位までの閉鎖路において、上下顎の歯の早期接触により、下顎が機能的に不正な位置に偏位して咬合する)●咬合支持の不足により、顎位が不安定な不正咬合●検査:機能的な問題の検出●治療:安定した咬合の再構築顎関節が咬合に影響を与えた場合●顎関節の炎症・吸収●顎関節の成長発育異常●治療:下顎骨の後方回転に注意する●治療:症状の経過を見極めて対応する不適切な咬合治療が顎関節に影響を与えた場合●潜在性の吸収性顎関節頭に外力を加えた不適切な矯正歯科治療●顎間ゴムやチンキャップのような顎関節に対する外力を用いる際は、顎関節の病態を必ずチェックする●未熟な治療技術により医原性の機能的問題や不安定な顎位を誘発させないようにする14矯正歯科治療と顎関節症出典 日本顎関節学会(編).顎関節症.京都:永末書店,2003.飯塚忠彦(監修),大西正俊,井上 宏,覚道健治,村上賢一郎,大月佳代子(編).顎関節症診断・治療マニュアル.京都:永末書店,2004.解説者コメント:顎運動や咀嚼筋機能などの生理機能の評価、エックス線写真やMRIによる形態評価を行い、咬合器を用いた適切な矯正歯科治療計画の立案が望ましい。TMD & Orthodontics顎関節症は、不良な咬合、悪習癖、関節構造の脆弱性、ホルモンバランスの変化、ストレス、精神疾患などの複数の背景が積み重なったときに発症する(多因子病因説)。矯正歯科治療と顎関節症との因果関係は否定されているものの、咬合は顎関節症を形成する病因のひとつであることには変わらない。矯正歯科医は、咬合状態による咀嚼筋の機能や顎関節への力学的負担の変化について、十分に配慮する必要がある。矯正歯科治療中に配慮すべきこと●開口時間を可及的に短くするボンディング、主線の結紮、バンディング、抜歯など●顎関節部に過大な力を加えないバンディング、抜歯など●顎間ゴム(特にⅢ級ゴム、交叉ゴム)、チンキャップ、上顎前方牽引装置の使用は極力避ける●反対咬合改善時、上顎前歯の後方移動時には、下顎位の後方偏位が生じていないかを確認する顎関節症をともなう不正咬合患者の検査・診断における確認事項❶(歯の早期接触による)下顎偏位叢生、Ⅱ級2類、Ⅲ級、下顎側方偏位症例❷セントリックストップが少ないことによる下顎位の不安定性Ⅱ級1類、開咬症例❸咬合干渉189矯正歯科治療と顎関節症PAGE18914埋伏犬歯の分類と治療法PAGE19015日本人に最も好まれる側貌とは?PAGE1921613矯正歯科治療における自家歯牙移植の手順と成功率PAGE19317上顎骨拡大と呼吸機能PAGE19721早期治療に対する見解PAGE18712保定に用いる装置の選択PAGE188

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る