歯科医院で患者さんにしっかり説明できる本
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1413579112468101213細菌が死んで石灰化し、歯石となる 歯石は唾液によってつくられるわけではなく、実はプラークの中の細菌によりつくられます。つまり、プラーク細菌がなければ歯石は形成されません。 歯石形成の最初のステップは、プラークの中の細菌が歯とくっつくことです。歯にくっついた細菌は2週間くらいのうくなります。このプラークの死がい444に、さらに別のプラークがくっつくことで、徐々に歯石が大きくなっていくのです。ちに死んで石灰化します。石灰化した細菌同士がくっついて歯石のコア(芯)になります。そのコアにまた別の細菌がくっついて、歯石は少しずつ大きくなっていくのです(図2-1)。 いずれにしても、プラークだけでなく歯石をつくらせないためにも、ブラッシングなどによるプラークコントロールが大切です。 歯石はプラークによってつくられます。プラークとは細菌の固まりで、歯にくっついたプラークは、そのうち死んで固図2-1 歯石のできる仕組み歯石はプラークの中の細菌によりつくられるまずは歯石ができる仕組みを、患者さんに説明しましょう。簡単に説明するなら……詳しく説明するなら…… プラーク細菌のうちで、もっとも強く石灰化するのは「コリネバクテリウム・マツルショッティイ(Coryne-bacterium matruchotii)」と呼ばれる細菌です。細菌の名前はどれも長くて、覚えるのがとても大変です。コリネバクテリウムは除去しても除去しても懲りずに増えてくる細菌ですから、「懲りねえ(ない)バクテリア」と覚えましょう。ほかに放線菌、レンサ球菌も歯石の原因となります。 歯石がつくられるきっかけは細菌のはたらきなのですが、歯石を大きく成長させるのには、唾液が重要なはたらきをしています。唾液のpHが上昇して口腔内がアルカリ性に傾くと、先ほどの「懲りねえバクテリア」などの石灰化が促進され、歯石がどんどん大きくなるのです。  つまり、細菌が歯石形成の最初のきっかけをつくり、唾液は歯石が大きくなる助けをしている、といえます。歯石形成21

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