PRD 2015年8月
1/4

13Volume 23, Number 4, 2015歯科インプラントに近接した想定外の歯根片残存:ヒトにおける6症例報告Laureen Langer, DDS1Burton Langer, DMD, MScD1Daliah Salem, DMD, MMSc2Original Title:Unintentional Root Fragment Retention in Proximity to Dental Im-plants: A Series of Six Human Case Reports要約(Abstract) 歯根片に近接あるいは接触させて埋入した歯科インプラントに対し,新たな関心が寄せられている.臨床上ヒトの歯は一般的に,治療困難なう蝕,垂直的あるいは水平的破折,歯周疾患あるいは根管治療の失敗のため,抜歯される.これらには,通常炎症や細菌感染が伴っている.本ケースシリーズの目的は,ヒトにおいて臨床的に検出できなかった歯根とインプラントの接触(CURIC)による合併症を示すことである.この場合,インプラントは検出できずに残存した歯根片に近接して意図的にではなく埋入された状態である.小さな歯根片による合併症は,インプラント埋入後6~48ヵ月後に検出できるようになった.6名の患者の7本のインプラントのうち,3本は重度の歯冠側の骨吸収のため除去された.これは,インプラントの先端部のみがおかされ,歯冠側部分のインテグレーションは維持される逆行性インプラント周囲炎とは異なる.歯根片とインプラントの接触による有害事象は,臨床的マネージメントとともに述べる.最近の関連するデータのレビューによれば,歯根片に近接した歯科インプラントの成功に関してさまざまな結果が報告されている.ヒトにおいて感染および著しい骨吸収のために保存不可能な歯を抜歯した部位において,意図的に歯根片を保存することはインプラント埋入にとって安全で信頼できる選択肢であると考える前に長期間荷重付加した結果を注意深く分析することが必要である.(Int J Periodontics Restorative Dent 2015;35:305-313. doi: 10.11607/prd.2410)1Private Practice, New York, New York, USA.2Clinical Instructor, Division of Periodontology, Department of Oral Medicine, Infection, and Immunity; Harvard School of Dental Medicine, Boston, Massachusetts, USA.Correspondence to: Dr Laureen Langer, 933 Fifth Avenue, New York, NY 10021; fax: 212-772-2558; email: langerette@aol.com. 近年,意図的に残された歯根片に近接して,あるいはこれに接して埋入された歯科インプラントに関連する患者の治療結果に,新たな関心が寄せられている1-3.1990年代の初めに,保存された歯根が存在する部位に歯科インプラントを埋入することによって,治癒のための細胞源が供給される可能性があると提案された.これらの初期のサルを用いた研究では,下顎骨に残された歯根に近接したインプラント上に,新生セメント質および歯根膜(以下PDL)が組織学的に存在することが報告された4, 5.新生セメント質と骨の間に観察されたPDLは隣接する歯根のPDLと連続していた.これは,歯槽骨ではなくPDLが歯根のセメント質の前駆細胞の供給源であることを示唆し

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です