PRD 2015月10月
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13Volume 23, Number 5, 2015連続ケースシリーズ:下顎のClassⅢ/Ⅳ根分岐部病変の治療における間葉系細胞含有の複合他家移植材と羊膜‐絨毛膜バリア材の併用Paul S. Rosen, DMD, MS1Stuart J. Froum, DDS2D. Walter Cohen, DDS3Original Title:Consecutive Case Se-ries Using a Composite Allograft Containing Mesenchymal Cells with an Amnion-Chorion Barrier to Treat Mandib-ular Class III/IV Furca-tions要約(Abstract) 今回の後ろ向きケースシリーズでは,5部位のClass Ⅲと1部位のボーダーラインClass Ⅳ根分岐部病変に対する階層化再生アプローチについて報告する.テトラサイクリン溶液による根面処理に続いて行った組換えヒト血小板由来成長因子の局所応用を含めた治療を行った.その後,間葉系幹細胞を含む複合他家移植材を根分岐部へ設置し,ヒト羊膜‐絨毛膜由来のバリア材によって根分岐部を完全に被覆した.Class Ⅳと診断された1部位を含む3部位において,根分岐部の完全な閉鎖を認め,2部位ではClass Ⅰまでの閉鎖が得られた.1部位においては,効果が得られなかった.本研究における下顎のClass Ⅲ根分岐部病変に対する再生治療のアルゴリズムは,従来,予後がpoor,hopelessと判断され,結果その多くが抜歯されてしまう歯を救える可能性を示している.(Int J Periodontics Restorative Dent 2015;35:453-460. doi: 10.11607/prd.2314)1Clinical Professor of Periodontics, Department of Periodontology, Baltimore College of Dental Surgery, University of Maryland, Baltimore, Maryland; Private Practice, Yardley, Pennsylvania, USA.2Clinical Professor and Director of Clinical Research, Department of Periodontology and Implant Dentistry, New York University, College of Dentistry, New York, New York;Private Practice, New York, New York, USA.3Dean Emeritus, School of Dental Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, Pennsylvania, USA. Class Ⅲ根分岐部病変1を伴う大臼歯部を健康な状態に戻すことは,歯周療法学においてもっとも大きな課題のひとつである.それらの部位に対するあらゆる外科的処置,特に再生療法においては期待外れの結果となっている2.その難しさの大半は,新付着形成に必要な血液供給や適切な細胞の獲得とともに,その複雑な根形態3, 4において汚染を完全に除去できるか,という点にある.したがって治療の試みとしては,根切除術やヘミセクション,外科後の清掃性を向上させるために弁をより根尖側に位置づけるトンネリング,またはオープンフラップデブライドメント5といったアプローチに焦点が当てられている.それらのアプローチの問題としては,その失敗率6や,根管治療,補綴といった適切な治療をするためのコストなどが挙げられる.例を挙げると,80名の患者において分割された大臼歯159本を評価した研究では,10年後における成功率は56~89%であった6.トンネリングのケースでは,激しい知覚過敏の発現や,さらには歯の保存に影響するようなう蝕が認められることもあった7, 8.さらには歯科用インプラントの出現と,その高い成功率Correspondence to: Dr Paul S. Rosen, 907 Floral Vale Boulevard, Yardley, PA 19067, USA; fax: 215-579-5926; email: paul@psrperioimplant.com.

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