PRD 2015年12月
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21Volume 23, Number 6, 2015萎縮した上顎前歯部に対する垂直的骨増生術と軟組織再建術:ケースシリーズIstvan A. Urban, DMD, MD, PhD1Alberto Monje, DDS2Jaime Lozada, DMD3Hom-Lay Wang, DDS, MSD, PhD4Original Title:Vertical Ridge Augmen-tation and Soft Tissue Reconstruction of the Anterior Atrophic Maxil-lae: A Case Series要約(Abstract) 骨再生部位の中で,上顎前歯部における著しく萎縮した欠損は,もっとも対処が難しい臨床状況のひとつである.臨床結果を獲得するためには,さまざまな骨補填材料を使用する垂直的骨増生術と,軟組織治療のコンビネーションが必要である.本ケースシリーズでは,自家骨と無機ウシ骨の混合物を使用した,萎縮上顎前歯部の垂直的欠損を回復するための画期的方法を報告する.垂直的骨増生術の欠点(たとえば前庭部の深さや角化歯肉の不足)を補うために,遊離軟組織移植を含む軟組織治療を行った.軟組織と硬組織移植のコンビネーションにより,理想的な審美性および長期的インプラント補綴の安定性が獲得でき,維持できている.(Int J Periodontics Restorative Dent 2015;35:613-623. doi: 10.11607/prd.2481)1Assistant Professor, Graduate Implant Dentistry, Loma Linda University, Loma Linda, California, USA; Director, Urban Regeneration Institute, Budapest, Hungary.2Graduate Student and Research Fellow, Graduate Periodontics, Department of Periodontics and Oral Medicine, School of Dentistry, University of Michigan, Ann Arbor, Michigan, USA.3Professor, Department of Restorative Dentistry, and Director of Graduate Implant Dentistry, Loma Linda University, Loma Linda, California, USA.4Professor and Director of Graduate Periodontics, Department of Periodontics and Oral Medicine, School of Dentistry, University of Michigan, Ann Arbor, Michigan, USA. 抜歯後には避けられない合併症が起こり,垂直的および水平的歯槽骨欠損を導く1-5.Schroppら3は,抜歯後初めの3ヵ月で水平的に50%,垂直的に0.7mmの歯槽骨の量的変化が起こると報告している.Van der Weijdenら6はシステマティックレビューで,歯槽骨の吸収が完全に終わった後,唇舌側的もしくは唇口蓋的に3.87mmおよび垂直的に1.7mmの吸収が起こり,理想的な位置でインプラントの安定性を獲得することが困難になることがある,と報告している.加えて,外傷と同様に歯周病も歯槽骨吸収を招くことがある.それゆえ,こういった臨床的困難には,短いインプラント埋入7,骨増生術8, 9,インプラントの傾斜埋入,人工歯肉を使用した再建やその他の治療法が用いられる10. 垂直的骨増生術(以下VRA)は,これらの困難を解決するひとつの方法である.しかし,現在ではもっとも困難な臨床術式のうちのひとつである.垂直的歯槽骨欠損の治療の際,再生療法オプションは重症度によって選択される11.小さな垂直的欠損(3mm未満)にも,より保存的な方法(たとえば矯正的挺出)が推奨されるかもCorrespondence to: Dr Istvan A. Urban, Director, Urban Regeneration Institute, Sodras utca 9, Budapest, 1026 Hungary. Fax: +36-1-2004447. Email: Istvan@implant.hu.

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