PRD 2015年12月
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33Volume 23, Number 6, 2015インプラント周囲炎に対する再生療法:リエントリー時の臨床結果Stefano Parma-Benfenati, MD, DDS, MScD1,2Marisa Roncati, RDH, DDS3Primo Galletti, MD, DDS4Carlo Tinti, MD, DDS1,5Original Title:Peri-implantitis Treat-ment with a Regenera-tive Approach: Clinical Outcomes on Reentry要約(Abstract) 本ケースシリーズでは,インプラント周囲の骨欠損に対して再生療法を行い,粘膜下治癒させた場合と,粘膜貫通型治癒とした場合でのリエントリー時の臨床的結果を示す;6名の患者の9本のインプラントについて,術前後の評価を行った.平均骨回復率91.3%,平均骨獲得量4.88mmとなった.どちらの術式も,骨吸収が進行したり,追加の骨増生が必要になったりはしなかった.インプラントの表面性状にかかわらず,すべての患者に対して,インプラント表面の汚染除去と洗浄を徹底的に行った.それまでのインプラント支持固定性補綴装置をそのまま用いて,中等度から重度のインプラント周囲炎を治療するには,再生療法が効果的であった.全症例で骨再生を認めたというこの予備的研究の結果は,おおいに期待がもてる.しかし,オッセオインテグレーションが回復したかどうかを判定するのは,臨床上確認するのが不可能であるため注意を要する.(Int J Periodontics Restorative Dent 2015;35:625-636. doi: 10.11607/prd.2374)1Teaching Professor, Dental School University of Torino, Torino, Italy; Private Practice in Periodontics and Implantology, Ferrara, Italy.2Teaching Professor, University of Parma, Parma, Italy;3Teaching Professor, Dental School University of Bologna, Bologna, Italy; Private Practice in Nonsurgical Periodontics, Ferrara, Italy.4Private Practice in Prosthodontics, Ferrara, Italy.5Private Practice in Periodontics and Implantology, Flero, Italy.Correspondence to: Dr S. Parma-Benfenati, Corso Giovecca 155/A, 44121 Ferrara, Italy. Fax: +39 0532 210522. Email: info@studioparmabenfenati.it インプラント周囲炎は,軟組織が感染し,周囲骨吸収が生物学的な骨リモデリングを超えて進行するという,インプラント周囲の感染プロセスと考えられてきた1, 2.インプラント周囲炎は,歯周病と同様,細菌による攻撃とそれに対する宿主の免疫応答の結果として初発する1.口腔衛生状態の不良,歯周病の既往,喫煙3,メインテナンスプログラムに積極的に参加しないこと4が,リスク因子とされている. インプラント表面の損傷,腐食,セメント固定式インプラント上部構造装着時にインプラント周囲溝に残留したセメント,咬合力によるオーバーロードもインプラント周囲辺縁骨吸収と明らかな関連があるが,インプラント周囲炎の原因の中でもっとも重要な要素は,不良な口腔衛生状態である1, 5-7. 骨欠損を明らかにすることが,正しい診断を行うために非常に重要であり,これは結果的に正しい治療とも直結する8.インプラント周囲炎の治療は速やかに行わなければならない3.もっとも効果的な治療に関する有効なエビデンスは非常に少なく,今日まで予測可能な治療法は確立されてこなかった1;したがって,この治療は困難といえる. 非外科療法は,インプラント周囲炎

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