PRD 2015年12月
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45Volume 23, Number 6, 2015上下顎における複数歯に及ぶMillerの分類ClassⅠおよびClassⅡの歯肉退縮に対する無細胞性皮膚基質を用いたトンネルテクニックによる根面被覆術:術後1年の経過報告Alejandra Chaparro, DDS, MS1,2Miguel De la Fuente2Daniela Albers3Denisse Hernandez1,2Ana María Villalobos2Dominique Gaedechens4Mateo De la Fuente4Miguel De la Fuente4Original Title:Root Coverage of Mul-tiple Miller Class I and II Recession Defects Using Acellular Dermal Matrix and Tunneling Technique in Maxilla and Mandible: A 1-Year Report要約(Abstract) 本症例報告の目的は,複数歯に及ぶ単根歯の歯肉退縮が認められる部位に対する無細胞皮膚基質を用いたトンネルテクニックによる根面被覆の獲得について,歯肉退縮の部位(上顎vs下顎)および分類(Millerの分類)が結果に与える影響について検証することである.患者24名の歯肉退縮93部位を治療し,術後1年に評価した.上顎の歯肉退縮の67.9%,下顎の歯肉退縮の52.5%で100%の根面被覆が得られた(P=.676).部分的な根面被覆が得られた症例においては,歯肉退縮量は上顎では初診時の4.41mm(SD:1.12)から0.82mm(SD:0.24)に,下顎では3.78mm(SD:1.08)から0.78mm(SD:0.30)に減少した.Millerの分類ClassⅡの歯肉退縮では43.59%で100%の根面被覆が認められたのに対して,Millerの分類ClassⅠの歯肉退縮では74.07%で100%の根面被覆が得られた(P=.003).(Int J Periodontics Restorative Dent 2015;35:639-645. doi: 10.11607/prd.1998)1Department of Periodontology, Dentistry Faculty, Universidad de los Andes, Santiago, Chile.2CEDAP, Centre of Advanced Studies in Periodontics, Santiago, Chile.3Department of Biostatistics, Universidad Mayor, Santiago, Chile.4Private Practice Dental Clinic, Santiago, Chile. 歯肉退縮は,根面の露出を伴う,歯肉辺縁がセメント‐エナメル境(以下CEJ)を越えて根尖方向へ移動した状態として定義づけられている1.歯肉退縮は口腔清掃状態が良好な人々2のみでなく口腔清掃状態が不良な人々3にもみられ,有症率は全体の51%にまで及んでいる4.歯肉の解剖学的要因,慢性的な外傷,歯周炎,および歯列不正などが主な原因となり,炎症の進行により歯肉退縮は生じる5, 6. 歯科的問題の多くは,患者自身が気付かないものだが,歯肉退縮は患者が発見しやすく治療を求められる.これに関して,歯肉退縮に伴う審美的問題,知覚過敏,根面う蝕,または適切なプラークコントロールの障害に対する患者の要求が増加していることから,歯肉退縮は治療上克服すべき重要な問題となっている7. 根面被覆術におけるひとつの問題は,適切な結合組織移植片の供給が困難なことである.複数歯に移植が必要となることがあるが,結合組織の採取量が限られる場合,数回にわたる外科処置が必要となるかもしれない.また,Correspondence to: Alejandra Chaparro Padilla, DDS, MDS, Department of Periodontology, Universidad de los Andes, Avenida San Carlos de Apoquindo 2.200, 7620001, Las Condes, Santiago, Chile. Email: chaparro.ale@gmail.com.

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