QDI 3月
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インプラント手術の重大事故回避インプラント外科器具マスタープログラム─Vol.19,No.2,2012283119くであり、このアシスタントが患者や手術スタッフの周囲にいることで、緊急事態が発生した際にさまざまな対応が可能となる。 ここで、手術台について触れてみたい。歯科の手術室では歯科用ユニットで手術をする医院が多いと思うが、もっとも大きな問題はバキュームである。インプラント手術時は、血液やドリリング時の注水などをしっかりと吸引することが重要であるが、外科用吸引管は先端が細いため、吸引力が若干低下する。特にdeep sedation下では、しっかりと吸引を行わないと、水や血液を誤嚥させ、それによる無気肺などの事故を起こす可能性もある。そこで必ず、吸引管を2本に増やすか、あるいは強力な排唾管を併用する必要がある(図3)。 次に、もし重大事故が発生し、他の施設への搬送が必要になった場合、救急車までの患者の移動路が確保されていなければならない。まずは、デンタルチェアーからストレッチャーへ患者を移動しなければならないため、チェアーの右側にストレッチャーが入るスペースが必要になる(図4)。またその後、救急車まで患者を搬入するため、ストレッチャーを医院の外に運べるように、医院全体として手術室の配置を考えなければならない(図5)。患者が緊急状態になっても院外へ搬送できない医院の構造では、それだけで重大事故に発展しかねない状況といっても過言ではない。麻酔医直接介助2直接介助1オペレーター外回りアシスタント器械出しアシスタント図1‐a、b 当医院の手術室の全体像。当院では執刀医(オペレーター)、助手(直接介助)2名、麻酔医、器械出しアシスタント、外回りアシスタント、計6名のチームで手術を行っている。図2‐a、b a:壁埋め込み型収納、b:救急カート。手術室には大きな収納スペースや救急カートを置くスペースも重要である。図3‐a 当院では吸引力の強い排唾管と外科用吸引管を使用することで、術中の誤嚥・誤飲を防いでいる。図3‐b さらに吸引が必要な場合は外部吸引システムを追加している。外器麻麻酔器動力台器械台1器械台2オ介介外回りアシスタント麻酔医直接介助1オペレーター直接介助2器械出しアシスタント図1‐a図1‐b図2‐a図2‐b図3‐a図3‐b

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