QDI 1月

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臨床に役立つ“インプラント骨学”を知る 骨発生のメカニズム71─Vol.20,No.1,2013071が大きく骨芽細胞のみの修復では手に負えない状況では、まず欠損部へのECMの形成と軟骨細胞による基質小胞性石灰化によって骨修復予定領域を確保するような内軟骨性骨化が生じてくるのだと思います。───先生、基質小胞とは一体なんでしょうか?内軟骨性骨化と膜性骨化の双方の石灰化において重要な働きをする【基質小胞】*は、直径30~300nmの膜性小器官であり、石灰化と深い関係を有する象牙芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞で産生が確認されています。基質小胞は、石灰化開始部位において小胞内部とリン脂質膜に沿ってHA微小結晶が出現して石灰化を進めていき、結晶は小胞外へと成長していき石灰化球を形成します15~20)(図4)。これを基質小胞性石灰化と呼んでいます。石灰化が起こるメカニズムには実態が不明の点もありますが、基質小胞が産生する【アルカリホスファターゼ】*とタンパク質分解酵素が深く関係しています。ALP-aseは、基質小胞のリン脂質二重膜の外膜に共有結合する膜タンパクで膜上を容易に移動して集積され、いずれ膜結合部より切断(Punch off)されて可溶性の状態になって類骨中に放散されていきます(図5)。生理的活動によって産生されるリン酸イオン(PO43-)は、生命活動に不可欠なものであることは周知のとおりですが、陰イオンであるPO43-は基本的に塩を形成する対イオン(Ca2+などPO43-の相手となるイオン)が存在しないと、リン酸同士が互いに加水分解して縮合する性質を有しています。この結果として、ピロリン酸(Pyrophosphate)が形成されてくるのですが、これはHA結晶成長の阻害物質(Inhibitor)として良く知られています13、21)(図6)。図4 骨芽細胞による石灰化メカニズム。骨芽細胞の産生した類骨中に基質小胞が埋入されていき、ALP-ase(アルカリホスファターゼ)の放出によってHA結晶析出の阻害物質であるピロリン酸が分解されるので石灰化が生じてくる。石灰化は、最初に類骨中の基質小胞とⅠ型コラーゲンに生じてくる。オステオイド(類骨)骨芽細胞石灰化ALP-ase骨骨基質小胞基質小胞I 型コラーゲン図5 基質小胞石の産生とALP-aseの集積スキーム。ALP-aseは、基質小胞のリン脂質外膜を移動して集積され、いずれ集積接合部は切断されて類骨中に可溶性の状態となって放出されていく。類骨中は、ALP-aseが高濃度で存在しているので、石灰化が生じやすい環境となっている。図6 HA結晶成長阻害物質としてのピロリン酸。HA結晶の主軸方向に面したC面(a-b plane)にピロリン酸が結合すると、HAの結晶析出は阻害される。ALP-aseはピロリン酸を分解すると同時にPO43-イオンを放出するので、HAの結晶析出が生じやすくなる。基質小胞アルカリフォスターゼアルカリフォスターゼPunch-off(切断)側方に移動して蓄積されていく体液内に放出されていくBudding(発芽)OHOHOHPOOHOHOHPOOHOHPOOHOHPOOH2OOHOHOHCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaPO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4CaCaCaCaCaCaOHOHOHCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaPO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4CaCaCaCaCaCaOHOHOHCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaPO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4CaCaCaCaCaCaOHOHOHCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaPO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4CaCaCaCaCaCaOHOHOHCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaCaPO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4PO4CaCaCaCaCaCaCa2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-PO4PO4PO4PO4Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-Ca2-PO4PO4PO4PO4PO4HA結晶成長阻害物質としてのピロリン酸ALP-aseALP-ase:アルカリホスファターゼオルトリン酸オルトリン酸ピロリン酸縮合ピロリン酸体液ピロリン酸の吸着ALP-aseの出現ピロリン酸の分解HA結晶の成長HA結晶の析出C軸(主軸)

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