QDI 5月
5/8

CBCTによる術中の動的診査Part 2―骨補填材料0.1cc填塞後の上顎洞粘膜挙上形態の分類と追加填塞の可否―歯槽頂アプローチによるサイナスフロアエレベーション成功の法則特別連載原田武洋園田哲也2001年 九州大学歯学部卒業2005年 九州大学にて歯学博士号取得2007年 山道歯科医院勤務2012年 福岡県福岡市にて開業日本口腔インプラント学会、山道同門会1992年1993年 1994年2012年日本歯科大学卒業財団法人日本歯科研究研修協会ポスト・グラデュエート・コース全日制卒業福岡県大牟田市にて開業日本大学にて歯学博士号取得近未来オステオインプラント学会、OJ、山道同門会略歴所属略歴所属 上顎臼歯部の吸収した顎堤に対して上顎洞内に骨を造成する方法として、上顎洞側壁を開窓して洞内に骨補填材料を填塞する側方アプローチ法とインプラント形成窩から洞内に骨補填材料を填塞する歯槽頂アプローチ法がある。垂直的既存骨が7mm以上ある場合は、歯槽頂アプローチ法が適応となる。歯槽頂アプローチ法は、外科的侵襲が少ないため広く応用されているが、決して容易な手術法ではなく、適切な手順で行わなければ大きなトラブルに発展する。歯槽頂アプローチ法は、「歯槽骨の状態、上顎洞形態、洞粘膜の状態」に個体差があるため術前にCT画像で診査しても予定どおりの挙上ができないことや、洞粘膜の伸展や損傷を起こすことがある。その理由として次のことが挙げられる。①洞底骨骨折の誤診②洞底骨骨折範囲の差③インプラント形成窩周囲の骨密度の違い④洞粘膜の挙上形態の多様性 手術を成功させるためには、術前のCT画像による診査だけでは不十分であり、術中の上顎洞粘膜の状態を判定し状況に応じて手術計画を変更する「動的診査」が必要になる。 筆者らは、Part1で骨補填材料と挙上範囲(H:垂直的挙上範囲、BP:頬舌的挙上範囲、MD:近遠心的挙上範囲)の関係を調査した結果から、0.1㏄填塞時の上顎洞粘膜の挙上形態をCT画像で診査することで、その後の填塞の可否を診断できることを報告した1)。洞底骨骨折時に洞粘膜の損傷がなければ、0.1ccの填塞で洞粘膜を裂開させることはきわめて少ない。たとえ洞粘膜を裂開させたとしても洞内に散乱した量が少なければ自然孔より排出されるため上顎洞内の感染の可能性は低い。 今回は、骨補填材料0.1cc填塞後の上顎洞粘膜の挙上形態をH/BP、H/MDの比をもとに4つに分類し、その状況やその後の追加填塞の可否について考察する。はじめに0.1cc填塞時の上顎洞粘膜の挙上範囲(平均mm、n=61)と各比率BP:6.51±1.45H:3.7±1.08MD:6.25±1.53H:3.7±1.08H/BP:0.62±0.37H/MD:0.64±0.36BP/MD:1.07±0.2465特別連載 歯槽頂アプローチによるサイナスフロアエレベーション成功の法則─Vol.21,No.3,2014409

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です