QDI 9月
5/8

Learn The Basics of Implantインプラント治療前後のコンサルテーションはじめに1 インプラントは自費診療なので、保険診療のように記載に関する細かい規定はない。カルテを記載する本来の目的を考えれば、診療に関する記録が残せればよいので、どのような紙にどのような方法で記載してもそこにはある程度の自由がある。しかし、それでも最低限のルールはある。今回は、インプラントの記録を残すためには何をどの順番で書けばいいのかを、当院のアプローチをふまえて紹介したい。紹介するカルテは、最低限の内容についてシンプルにまとめただけなので、アドバンス的な要素はない。これからインプラント治療を始める先生や卒直後の先生に向け、参考になれば幸いである。カルテの記載21)診断(図1、2) インプラント治療が決まったら診断が始まる。筆者は、「診断」と「計画」で手術の成功の90%以上が決定すると考えている。そのため、診断にはいくら時間をかけてもかけすぎるということはない。診断には以下の4種類の通常診査がある。(1)問診(2)視診・触診(3)模型による咬合診査(4)X線診査(1)問診 尋ねなければならないのは、おもに「現病歴・既往歴・生活歴・治療に対する希望」である。【現病歴】 その歯を失うまでの履歴である。「なぜ、その歯が欠損になったのか」。これが一番重要な診断ポイントである。いつ、どこで、どのような治療をしてきたかを聞き、その再発を防げないのであれば、インプラントはそもそも適応症でないかもしれない。【既往歴】 全身疾患の既往を聞く。糖尿病や骨粗鬆症、妊娠だけでなく、心疾患の既往も重要である。【生活歴】 薬の服用や、喫煙・飲酒などについて、手術にかかわりのある生活習慣について確認する。仕事に関しても必要に応じて確認し、術後の腫れなどで休まないといけないようなら伝えておく。【治療に対する希望】 インプラントを行う目的や手術に関する希望を確認しておく。機能性重視か、審美性重視か、治療中は仮歯か義歯か、手術日程についての希望などを確認する。(2)触診・視診 患者の口腔内に関して歯科医師が確認しておかないといけない点は「付着歯肉の幅」と「歯周ポケット」である。この2つは石膏模型から診断することはできない。模型でも「顎堤の頬舌的な幅」を測ることはできるが、付着歯肉の幅は確認できない。完成後のメインテナンスのためにも付着歯肉は正確に確認しておく。第4回 患者管理のためのインプラント専用カルテ荒井昌海医療法人社団 翔舞会 エムズ歯科クリニック 理事長126Quintessence DENTAL Implantology─822

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です