QDI 2015年9月
2/8

Kotaro Nakata中田 光太郎2基本術式および適応症長期安定性をもたらすインプラントプラスティックサージェリーの基本症例2-a 患者は31歳女性。2007年前歯部補綴物(211)の違和感、および口蓋側の歯肉の腫脹を主訴に来院。典型的な裂開状の骨欠損が見られるケースはGBRの効果が高い。症例2-b、c 自家骨と骨補填材料および吸収性メンブレンを用いて同時法によるGBRを行い創を閉鎖する。当時用いていたフィクスチャーはエクスターナルのアバットメントの突出があり、セミサブマージドアプローチ(半閉鎖)に近い。インプラント埋入から2ヵ月。フィクスチャーのヘッド部分は二次手術なしで、ヒーリングキャップを用いてこのように口腔内に露出した状態。症例2-l 術後7年3ヵ月経過時。水平的な造成の効果と考えられる歯肉縁の歯冠側移動がみられる。乳頭は維持されている。症例2-d 口蓋より結合組織を採取し、インプラント唇側部に移植。その際、歯肉縁からではなく、MGJ付近に水平切開を入れて根面被覆術のTarnow法でカバーフラップの歯冠側移動も併用。症例2-e 唇側への結合組織移植の場合、歯頚部からのエンベロープフラップを用いるが、カバーフラップのテンションの確実な減張が難しい場合、唇側水平切開から移植片を挿入することもある。症例2-f プロビショナルのサブジンジバルカントゥアの調整を行うも奏功せず、ブラックトライアングルは改善しない。症例2-g、h 口蓋側より有茎弁によるローテーションフラップをトンネリングさせ、乳頭下に移植した。(Pedicle Tunneling Technique:ザ・クインテッセンス 2009年10月号参照)この方法では縫合は唇側に1糸のみ行えば有茎弁は確実に固定される。また血液供給の点においても有利である。症例2-i 術後2日。乳頭スペースはこの段階で埋めることができた。乳頭下に移植弁のためのトンネルを確実に形成する必要がある。症例2-j 最終補綴物装着時デンタルX線写真。インプラント周囲の骨は維持されている。症例2-k 最終補綴物装着後2年経過時。唇側の退縮は見られず、歯肉のリモデリングも一巡したとすれば、乳頭の形態はこれ以上はのぞめないと考えた。クローズドテクニックを用いた有茎弁移植による垂直的造成の8年経過症例ghbc29─Vol.22,No.5,2015697

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です