QDI 2016年1月
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前田芳信/和田誠大/大月基弘前田芳信/和田誠大/大月基弘公立歯科医院を指定されます。しかし、プライベートクリニック(PC)に行くと決めた場合は自分の好きなところへ行けます。PCの先生は「私はこの治療をしているのでこれだけ料金をプラスします、よろしいですか」と自分でプライスを乗せて、患者さんが納得すれば成立するという制度があるので高い費用がかかりますが、50歳を超えると統計的にはPCを選ぶ方が増えます。金銭的な余裕が出てくる年齢であることに加え、公立病院は非常に混雑していてなかなか治療に移ってくれないことが理由でしょう。3.スウェーデンの現状インプラント治療を受けている人の割合前田お二人のスウェーデンでの環境がわかったところで、次に進みたいと思います。スウェーデンは最初にオッセオインテグレーテッドインプラントが広まった国ですが、現在のインプラント治療の現状はどうでしょうか。和田スウェーデンには「Års rapport」というレポート(図7)があります。これはインプラントだけに特化したものではなく、う蝕の状況や歯周病その他、日本でいうところの歯科疾患実態調査にあたるものです。今回は2013年度版を中心にお話ししますが、インプラントに関する情報が出てきたのはこの前年、2012年度版からです。その中からインプラントに関する部分をみると、2010~2011年、2012~2013年で年代層(男女別)におけるインプラント患者の適用率が出ており、年齢が高い層でも5~6%程度でした(図8)。インプラント治療が保険適用されているわりには低い数字に感じました。大月ここに書かれていたのは、70~89歳のグループが5~6%で最多です。ただし、全体では若い年齢グループは当然少ないので押し並べてみると約2%。実は、これは日本の平成23年の歯科疾患実態調査の2.6%とほぼ一致しています(図9)。和田患者さん1人あたりのインプラント埋入本数も報告されています。実は、これも日本の現状に近く、1本だけの適用は41%、2~3本まで含めると全体の約75%を占めるというデータです(図10)。Serino先生は、患者さん自身の歯を残すための意識向上などが影響しているのではとおっしゃっていました。インプラント周囲炎罹患率とその対応前田インプラント周囲炎についても日本と同じ状況ですか。和田2013年度版ではインプラント周囲炎についての図11 スウェーデンのインプラント適用患者におけるインプラント周囲炎に罹患している割合。高齢になるほど罹患率が上昇している。図12 インプラント周囲炎に対する処置方法の割合を表したグラフ。1003020100(%)年齢層(歳)80-8970-7960-6950-5940-4930-3920-29女性2010-2011年男性2010-2011年女性2012-2013年男性2012-2013年情報提供機械的清掃インプラントの撤去外科処置n=1,454(2012)9%3%74%14%1009080706050403020100(%)女性2010-2011年男性2010-2011年女性2012-2013年男性2012-2013年150015 ─Vol.23, No.1, 2016

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