QDI 2016年1月
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予後10年以上の長期インプラント症例を再評価する  水上哲也予後10年以上の長期インプラント症例を再評価するはじめに 自身の臨床の経過観察のなかで得られる情報は貴重な財産である。 私たちの臨床はその時代のスタンダードな考え方やトレンド、そして自身の技量や患者の要求などに左右される。これらの臨床結果をフィードバックして次の治療に結びつけることは重要である。このため治療後の経過を正しく評価するとともに改良点をつねに検討する姿勢が求められる。今回提示する症例は重度に進行した歯周病の患者で全顎的に歯周治療を行い、インプラント補綴修復を含めて総合的な改善を行った症例の長期経過である(図1〜8)。本症例では、現在までにいくつかの介入が行われてきた。今回は、症例を再評価するとともに、現在の状態を踏まえ「もしこの患者が今来院されたら……」という仮定のもとで議論を進めていきたい。重度歯周病患者にインプラント治療を行った症例の長期予後水上哲也 福岡県開業:水上歯科クリニック九州大学歯学部臨床教授1995年9月(39歳)2000年3月(44歳)初診インプラント埋入(1回目)1回目の治療終了2006年4月(50歳)2015年2月(58歳)抜歯→インプラント埋入(2回目)最終補綴物装着初診より20年経過2007年4月(51歳)Point!本症例における治療の経過(1995年9月~2015年2月)歯周病の治療を希望して来院。治療終了。その後メインテナンスには定期的に来院。治療終了6年後、₃₁₂に二次う蝕を認め、抜歯後即時インプラントを適応。上顎の補綴物は3ブロックに分割。₇の歯根破折、₆₇の根尖病変により再介入の時期が来ている。歯周基本治療後、保存不可能な₆₂₁、₄₆の抜歯、矯正治療を行った。その後、₆₇部へのインプラント埋入、歯周外科治療、結合組織移植などを行った。550055 ─Vol.23, No.1, 2016

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