QDI 2016年1月
6/8

連載はじめに1 切開線設定および切開のポイントの連載第3回目は、上下顎前歯部複数歯欠損である。前歯部1歯欠損に準ずるところが多いが、2本以上連続した複数歯欠損や1歯、2歯、3歯あるいは4歯離れての2つ、あるいは3つの欠損が存在する。当然、角化粘膜の状態や骨造成の有無によっても切開線は異なる。 本稿では、上下顎前歯部複数歯欠損症例を分類し、それぞれの切開線設定および切開のポイント、そして骨造成時にもっとも重要となる減張切開についても解説する。切開の原則および切開線設定を規定する因子2 切開の原則は第1回目の前歯部1歯欠損症例とまったく同じである。 また、インプラント埋入あるいは二次手術に際しては、抜歯後即時埋入や切開・剥離を行わないフラップレスサージェリーと、切開・剥離を行うフラップサージェリーの2つに大別される。1)フラップレスサージェリー(1)抜歯後即時埋入 抜歯後即時埋入では、唇側骨欠損がなければ、原則として切開・剥離の必要なく、インプラント埋入が可能である。連続した複数歯欠損の場合は、隣接するインプラント間の歯槽骨を温存できるように、同時に行うのではなく、2歯欠損の場合は片方の歯を先に抜歯後即時埋入し、約3ヵ月後にもう一方の歯に対して抜歯後即時埋入を行うのが良い。 3歯連続欠損の場合は、両サイドを抜歯後即時埋入し、中間部をポンティックとする。あるいは、3本埋入する場合は、まず両サイドを抜歯後即時埋入し、その約3ヵ月後に残りの中間の歯も抜歯後即時埋入するのが良い。 しかし、唇側骨欠損があれば、切開線を加え、GBRや自家骨移植による骨造成が必要となる(骨造成の項目で後述する)。(2)パンチアウト、ハーフパンチアウト パンチアウト、ハーフパンチアウトを前歯部複数歯欠損で行う場合は、第1回の前歯部1歯欠損症例と原則はまったく同じである(図1)。2)フラップサージェリー インプラント外科における切開線設定を規定する因子を念頭に入れると、理論的で一貫性のある切開線となり、予知性の高い結果が得られる。 以下では、前歯部複数歯欠損における各種フラップサージェリーの切開線設定について、解説を行っていく。Dr. 堀内が基礎から解説!インプラント手術時の切開線設定と外科手技のポイント第3回前歯部複数歯欠損症例における正しい切開線設定と外科手技堀内克啓奈良県開業:中谷歯科医院大阪大学歯学部臨床教授/長崎大学大学院顎口腔再生外科学講座非常勤講師/岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座非常勤講師66Quintessence DENTAL Implantology─ 0066

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です