QDI 2016年3月
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インプラントのためのインパクトの高い論文評価連載 インプラントのためのインパクトの高い論文評価1. 国内外におけるComputer guided surgeryの評価1)海外における評価 現在のインプラント治療において、コーンビームCT(CBCT)データを基にした三次元的な診断1)や、専用ソフトウェア上での診断、インプラント・シミュレーションが世界的に行われるようになっているが、その起源は歯列に沿ったX線CT再構成画像2)の開発や、1991年に米国で開発されたシミュレーションソフトウェアのSIM-PLANT®(デンツプライ社)の普及にあったと考えられる。 これにより、造影性のある診断用ステントを装着した状態でCT撮影を行いソフトウェア上でインプラントをシミュレーションし、それを基に診断用ステントを加工して外科用ステントとして使用する手法が応用されてきた。これは補綴主導のインプラント治療の概念の普及を加速させることとなった3)。 現在のComputer guided surgeryには、モーションキャプチャータイプ4、5)と外科用テンプレートタイプ6~8)の2種類があるが、どちらも埋入位置の誤差を最小化し、シミュレーションどおりのインプラント埋入の支援を目的としている。前者の代表的な装置としては、IGIシステム(Image Navigation社)、RoboDent(RoboDent社)などがある。また、後者の代表的なシステムとしては、SIMPLANT®ガイド、ExpertEase™(デンツプライ社)、NobelGuide®(ノーベル・バイオケア社)、CARES®(ストローマン社)などがある。2)国内における評価 日本においてComputer guided surgeryの臨床への応用は欧米のそれに沿ったものである。しかし、病院の医科用CT装置の普及率は他のどの国よりも進んでいるため、病診連携により容易にCTデータを入手することが可能な環境にある。加えて、2005年頃よりCBCTが普及し始めており、現在ではインプラントを行う診療施設の多くがCBCTを設置していると思われる。それにともないComputer guided surgeryも欧米並みに行われているものと思われる。 現在までに国内で開発されたモーションキャプチャータイプのガイドシステムはないが、国産の外科用テンプレートタイプとしてはLandmark Guide™(アイキャット社)、Bone Navi®System(和田精密歯研社)などがある。 Computer guided surgeryとは、CTデータを基にしたインプラント・シミュレーションどおりの位置にインプラントを埋入するためのコンピュータを用いた手術支援技術であり、モーションキャプチャータイプ(ナビゲーションタイプ)と外科用テンプレートタイプ(骨支持型、歯牙支持型、粘膜支持型)の2種類に大別される。2000年代になってから各社で開発が進み、現在では広く普及している。後者のタイプにおいては、webを通して術者の立案した治療計画データをメーカーに送り、光造形法などで製作された外科用テンプレートを用いてインプラント埋入手術を行う。現在、利便性やコストなどの面から、外科用テンプレートタイプのほうが普及している。一般社団法人 日本インプラント臨床研究会(CISJ:Clinical Implant Society of Japan)サイエンス委員会(井汲憲治、岩野義弘、武田朋子、佐藤博俊、田中譲治、水口稔之、若井広明、笹谷和伸、芦澤 仁)、塩田 真(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科インプラント・口腔再生医学准教授)Computer guided surgeryのための重要キーワードベスト論文第7回Computer guided surgery検索キーワード870251 ─Vol.23, No.2, 2016

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