QDI 2016年3月
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予後10年以上の長期インプラント症例を再評価する  澤 裕一郎予後10年以上の長期インプラント症例を再評価するはじめに サイナスリフトに使用する骨補填材料は圧倒的に他種骨、他家骨、人工骨が多い。自家骨がゴールドスタンダードであることは十分に知られているが、採取手術が患者の苦痛を増加させることや、手術にともなうリスクのために、自家骨の使用は敬遠される傾向にある。 筆者は1990年代後半から、自家腸骨を用いたサイナスリフトを行ってきた。しかし、術後の骨吸収量が多いことや手術侵襲の点から、臨床的評価は芳しくなかった。その後は、下顎骨からの自家骨採取に変更して手術侵襲は低減したが、オトガイ神経麻痺などで患者を苦しめることがあった。そこで、できれば自家骨移植と同じ効果のある他の方法がないかと考えていたところ、上顎洞内に病変を認めた患者にPRPを充填してサイナスリフトを行った症例、上顎洞の近心部に小ブロック骨を挿入してサイナスリフトを行った症例を経験した。そして、その臨床的結果をふまえ、“骨補填材料を充填しないサイナスリフト”の可能性を探ることになった1)。 今回は、予後10年以上を経た骨補填材料を充填しないサイナスリフト症例を報告するとともに、その後に筆者が改良を繰り返し、現在の術式に至った経緯を報告する。骨補填材料を充填しないサイナスリフトの長期予後とその後の変化澤 裕一郎 静岡県開業:IPソリューション三共歯科筆者が応用してきた“骨補填材料を充填しないサイナスリフト”の変遷初代(図1、2)2004年9月開洞部骨片+PRPを使用2015年2月₇₆他部位から採取した小ブロック骨片+PRPを使用第2世代(図3、6)2005年8月2014年12月₇₆2005年11月PLLAプレート+PRPを使用2015年2月₇₆第4世代(図5)2008年6月吸収性糸を使用2015年9月₇₆₅第3世代(図4)530217 ─Vol.23, No.2, 2016

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