QDI 2016年3月
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連載はじめに1 切開線設定と外科手技のポイントの連載第4回は、上顎臼歯部複数歯欠損症例である。前歯部と異なり、インプラント外科の際には上顎洞に対する解剖学的注意が必要となり、当然それらとの関係で切開線の設定が変わってくることは、第2回の臼歯1歯欠損症例と同様である。また、中間欠損か遊離端欠損によって、そして骨造成の有無によって切開線は異なる。 本稿では上顎臼歯部複数歯欠損症例を分類し、それぞれの切開線設定と外科手技のポイントについて解説する。切開の原則および切開線設定を 規定する因子2 切開の原則は第1回および臼歯1歯欠損症例とまったく同じである。臼歯部の歯槽頂水平切開は、原則として近心から遠心に向けて行うよりも、遠心から近心に向けて行うのが良いと考える。また、インプラント埋入あるいは二次手術に際しては、抜歯即時埋入や切開・剥離を行わないフラップレスサージェリーと、切開・剥離を行うフラップサージェリーの2つに大別される。1)フラップレスサージェリー(1)抜歯即時埋入 抜歯即時埋入では、頬側骨欠損がなければ、原則として切開・剥離の必要なく、インプラント埋入が可能である。連続した複数歯欠損の場合は、前歯部と異なり、隣接するインプラント間の歯槽骨を温存できやすいので、同時に行うことが可能である。 しかし、頬側骨欠損があれば、切開線を加え、GBRや自家骨移植による骨造成が必要となる(「骨造成が必要な場合」の項目で後述する)。(2)パンチアウト、ハーフパンチアウト パンチアウト、ハーフパンチアウトを臼歯部複数歯欠損で行う場合は、第2回の臼歯部1歯欠損症例と原則はまったく同じである。2)フラップサージェリー フラップサージェリーにおける切開線設定を規定する因子に関しては、前歯部と同様の因子以外に遊離端の有無、上顎では上顎洞を考慮しなければならない。上顎臼歯部複数歯欠損症例のフラップサージェリーにおける各種切開線設定3 上顎臼歯部複数歯欠損は、骨造成の必要性によって切開線が大きく左右される。1)骨造成が必要ない場合 骨造成が必要ない場合は、1回法か2回法か、1回法Dr. 堀内が基礎から解説!インプラント手術時の切開線設定と外科手技のポイント第4回上顎臼歯部複数歯欠損症例における正しい切開線設定と外科手技堀内克啓奈良県開業:中谷歯科医院大阪大学歯学部臨床教授/長崎大学大学院顎口腔再生外科学講座非常勤講師/岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座非常勤講師72Quintessence DENTAL Implantology─ 0236

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